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2015-05-31 山賀博之、『超時空要塞マクロス』の壮絶な制作現場を語る

つい先日、かなり以前に書いた『超時空要塞マクロス』の記事になぜか突然大きなアクセスがあった。「こんな古い記事になんで今頃?」と驚いたが、理由は良く分からない。↓
・『超時空要塞マクロス』の制作現場はブラック企業ばりの修羅場だった?
ただ最近、NHKで「若手アニメーターの平均年収は110万円」というニュースが報じられたことをきっかけに、「労働環境が過酷すぎる」「日本のアニメはブラック業界なのか?」みたいな記事が話題になっていたので、そういうニュースに触発されたのかもしれない。
とりあえず、山賀博之(『オネアミスの翼』の監督)が以前『超時空要塞マクロス』の現場で働いていた頃の体験を「クイック・ジャパン」で語っていたので、記事の補足説明として書いておきます(インタビュアーは竹熊健太郎)。
竹熊:それで、上京してテレビの『超時空要塞マクロス』に参加されたんですか?
山賀:最初はオープニングの演出ですね。あれの企画が立ちあがって、しばらくした時に呼ばれて行って。
山賀:1年ちょいですね。
竹熊:あれも今から考えると凄い作り方をしていたみたいですね。
山賀:凄かったです。テレビで放映する商業作品なのに、作り方は自主制作並み。でも、逆に勉強になったんです。だっていきなり原画とか、演出とかできるわけですよ。他のスタジオでは有り得ない。現場に着いて、机でぼーっとしてたら、総監督の石黒昇さんが「お前、免許持ってないのか?」って言うから「持ってないです」って言ったら「絵は描けないのか」、「描けないです」。「しょうがねえなあ。じゃあ、オープニングの絵コンテ描け」って言われて(笑)。とにかく人手が足りなかった。ですから、作品としてはもうデタラメでしたね、本当に。
竹熊:それでオープニングの絵コンテを描いて、そのあと第9話の『ミス・マクロス』にかかったんですか?
山賀:いや、その間に一応『マクロス』を作っていた現場の会社でアートランドというのがあって、そこのメインの演出家で高山さんという人がいましてね。その人の助手というか、演出補佐をやってたんです。それでこの高山さんも結構いいかげんな人で(笑)。二人でフラフラと夜明けの新宿の街を歩いていて、「高山さん、あそこに発注したあの原画、あがってくると思いますか?」、「う〜ん、あがってくると思うんだけどねえ」みたいな話をしてて。「僕ね、絶対締め切りに間に合わないと思いますよ」とか言ってて。だからお弟子さんというよりは、なんだか変な関係でしたね。役職的には向こうが演出で、僕は助手なんですけど、僕の方がいじめてたりして(笑)。
竹熊:いろいろ仕事をやらされて、かなり勉強になったわけでしょう?
山賀:やらされてというか、自分でやるしかなかった。結局、下請けに発注してもあがってくるとは限らないし、あがってきたやつが使えるとも限らないんです。リテイクしても無駄。まずカット数が揃うかどうか。揃ったとして、テレビのオンエアに流してもいい絵になってるかどうか(笑)。問題はそこですからね。だから、最後は全部こっちがやらなきゃいけない。僕自身、動画を描いて原画も描いて、色も塗ったり、原画を取りに行ったり、発注に行ったり。そんなことをやってたら、勉強にならないわけないですよ(笑)。
竹熊:今のアニメーターにとって、そういう現場ってあるんですかね?
山賀:ないでしょう。当時ですら『マクロス』の現場は異様な状況でしたから。皆がついて来るなら、何の問題もないけれど。人がいないから大変なわけでね。要するに、スタッフが逃げちゃうわけですよ(笑)。
竹熊:それで、山賀さんは『マクロス』の途中で大阪に帰られますよね?途中で抜けたのは、何か理由があったんですか?
山賀:第9話を作った時、製作母体のタツノコプロから物凄いクレームが入って…。要するに、あがってた原画を全部捨てちゃって、素人の学生呼んで勝手に作り始めたわけだから。まあ僕も学生だったんだけど(笑)。それで、スケジュールがどんどん遅れて、さんざん怒られて。その直後に石黒さんから呼ばれて、「山賀な、ちょっと言いにくいんだけど、お前タツノコを出入り禁止になったみたいなんだ」って。「あ、いいですよ。辞めますよ」みたいな流れですね。
竹熊:じゃあ、クビに近い状態?
山賀:ほとんどクビですね。ただ僕としても、そろそろ帰って『DAICON4』の準備をしなきゃいけない時期だったんですよね。でも『マクロス』もすごい切羽詰まってる状況で。そんな時に「自主映画作りますんで」なんて理由で戦線離脱できないじゃないですか?どうしようと思ってる時に、クビみたいな声が聞こえて来たんで。もう願ったりかなったりですよ。OK、OK!じゃあ帰りますとか言って。喜んで帰って来ました(笑)。 (1998年3月発行『クイック・ジャパン vol.18』のインタビューより)
このように、テレビ版『超時空要塞マクロス』はメチャクチャな環境で作られていたため、作画崩壊の頻度が異常に多かったらしい。よく『マクロスF』までシリーズ継続できたもんだなあ(^_^;)
処でアキラの漫画版には熱狂してたけど、映像化に当たっては、漫画の手帳だったかな、監督がド素人で上がって来た映像を視てから気に入らないと言い出して仕方無く補佐役が難癖を付けてはリテイク(只)させるってのが頻発し、本当に予告期日迄にまともなのが上がるのか憂慮されてるって、のが伝えられてたけど彼の辺りの修羅場は何う成ってたか興味深い。 まあ、細かく詮索すりゃ劇場で違和感の箇所は有ったけど。
ブラック・マジックM-66は懲りたのか其の後、現ポルノ・イラストレイターは手を引いたけど、ヴィデオで視る限りは傑作だったなあ。