在韓米軍基地の研究所で炭疽菌実験 その目的は?

【ソウル聯合ニュース】在韓米軍が京畿道・烏山の空軍基地内に施設を備え炭疽(たんそ)菌の実験を行ってきたことをめぐり、疑念が広がっている。

 烏山基地の実験室の存在は、米国防総省が27日(米東部時間)、米ユタ州の軍研究所から不注意で生きた炭疽菌のサンプルが米国の9州と烏山の在韓米軍基地に送られたと発表したことで発覚した。

 在韓米軍側は同基地の「在韓米軍合同脅威認識研究所(ITRP)」でこの炭疽菌サンプルを用いて培養実験を行う際、実験関係者22人が炭疽菌にさらされたが、現時点で感染症状がみられる人はいないと説明している。しかし、基地内の将兵や民間人が危険にさらされかねない状況でもあった。

 なぜ研究所の存在を伏せ炭疽菌の実験を行ってきたのかについて、さまざまな憶測が飛び交っている。

 北朝鮮軍が生物化学兵器で攻撃してきた場合に備え、在韓米軍が炭疽菌の除去技術を高めワクチンを改良することが目的との見解がある。北朝鮮軍の生物化学兵器は2500~5000トンと推定され、これに対し在韓米軍はワクチンを保有しているとされる。2005年以降は炭疽菌の予防接種を行っているという。

 また、朝鮮半島の温暖化に伴い炭疽菌の耐性が変化する可能性があり、持続的な実験を通じ対応力と技術を高めるようとひそかに実験施設を設けたのではないかという意見が出ている。

 一方、在韓米軍が実験目的を明らかにせず、「(送付されてきた)炭疽菌サンプルは烏山基地の実験室要員が訓練しながら使った」「訓練は正常な管理手順に従い、実験室の規定通り行われた」という歯切れの悪い説明をしていることから、有事に備え生物化学兵器を確保する意図ではないかという観測も出ている。

 炭疽菌は人や動物の体内に侵入すると毒素を生成し、血液内の免疫細胞を破壊してショックを誘発する。場合によっては死に至ることもある。そのため生きた状態で移すことは厳しく禁じられている。

 こうした炭疽菌が在韓米軍にどれほど送付されたかは明らかにされていない。韓国国防部と外交部、疾病管理本部も米軍からどのような情報をどのルートで得たか言及していない。

 一方、国防部は炭疽菌感染者を治療する抗生剤を保有していると説明する。また、疾病管理本部が来年を目標に研究・開発中の炭疽菌ワクチンが完成すれば導入する計画だという。

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