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第一原発で遮水壁を稼働 東電汚染水抑制へ代替案

 東京電力福島第一原発の汚染水対策で、建屋周辺の井戸「サブドレン」からくみ上げた水を浄化し海洋放出する計画が難航していることを受け、東電はサブドレン稼働の前に遮水壁を稼働させて汚染水発生量を抑制する「代替案」をまとめた。22日に都内で開かれた原子力規制委員会の特定原子力施設監視・評価検討会で示した。規制委側は代替案の安全性に疑問があるとし、地元の理解を得た上でのサブドレン稼働を求めたが、出席者からは代替案に賛成する意見も出た。
 代替案の概要は【表】の通り。サブドレンを稼働させる前に陸側遮水壁の山側と海側遮水壁を完全に閉じることで建屋への地下水流入量を減少させる。両遮水壁を稼働させることで、建屋への地下水の流入量は日量300トンから110トン、海側遮水壁の間から海に流出している地下水は日量290トンから10トンまで減らせると見込んでいる。
 東電はこれまで地元の理解を得てサブドレンを動かした後に、海側と陸側の各遮水壁を稼働させ、建屋流入量を80トンに、海への地下水流出量を10トンにそれぞれ減らす方針を示していた。しかし、2月に建屋屋上の汚染雨水が港湾外の海に流出していたにもかかわらず、データを公開しなかった問題で、サブドレン稼働に見通しが立たなくなったこともあり代替案をまとめた。
 検討会では、規制委側が、サブドレンが動かしていない状況で陸側遮水壁を稼働させると地下水の低下により建屋内の高濃度汚染水が建屋外に漏れ出す危険性を指摘。更田豊志委員が「基本シナリオを着実に進められるよう努力してほしい」と述べ、サブドレンの稼働に向けて地元の理解を得るよう強調した。
 一方、高坂潔県原子力専門員は「サブドレンからの海洋放出量が減るなど代替案にも魅力はある」と述べ、選択肢の一つとして検討を進めるよう求めた。

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