【社説】李在鎔サムスン、国民に愛される企業になれるか

 李健熙(イ・ゴンヒ)サムスン電子会長の長男で同社副会長の在鎔(イ・ジェヨン)氏が15日、サムスン生命公益財団とサムスン文化財団の新理事長に選任された。在鎔氏の理事長就任には、同氏がグループの社会貢献活動や文化支援事業を総括すること以上の意味がある。創業者・李秉喆(イ・ビョンチョル)グループ初代会長が初代理事長を務め、父・李健熙(イ・ゴンヒ)会長が後を継いだポストを受け継ぐということで、事実上、グループの経営権継承を意味する象徴的な措置だ。今や「李在鎔のサムスン」時代が幕を上げたも同然ということになる。

 在鎔氏は、昨年5月に李健熙会長が倒れてから1年間、実質的に最高経営責任者(CEO)の役割を果たしてきた。系列会社間の合併や持分整理でグループの支配構造を改編して石油化学・防衛産業関連の系列会社をハンファ・グループに売却、事業の構造改革も推進した。この過程で在鎔氏は自ら経営的判断を下す現場指揮官としての面を見せた。李健熙会長は巨視的な方向性を設定し、その後の細かい事案についてはグループの未来戦略室や系列会社社長たちに任せる「委任統治」で一貫していた。

 「李在鎔のサムスン」の前には解決すべき課題が山積している。サムスン電子がこのほど発売したスマートフォンの野心作「Galaxy S6」は販売実績が期待を下回っている。グループとして「スマートフォン以降」をリードする新たな事業分野もまだ見えてこない。「サムスンは短期成果主義に流れ、辛抱強く将来の成長分野に投資する努力は弱まった」と指摘する声も出ている。李在鎔体制が無事着陸できるかどうかは、結局サムスンが新たな成功モデルを見つけ、どれだけ成果が挙げられるかにかかっている。

 サムスンは、グローバル企業にふさわしいコーポレートガバナンスを整え、社会的責任を果たす点においても、これまでとは違う姿を示さなければならない。例えば、サムスン生命が保有しているサムスン電子株を処分することをはじめ、これまで批判を浴びた循環出資構造をまず解消する必要がある。在鎔氏の兄弟がエバーランド(第一毛織)やサムスンSDSの株を安値で買い、数兆ウォン(1兆ウォン=約1100億円)台の上場差益を手にしたことに関しても、韓国社会が納得できる形で責任を取る姿勢を示す必要がある。

 ゼネラル・エレクトリック(GE)やデュポンなどのグローバル企業は常に新技術の開発を続けることにより、100年以上も世界トップの座を守っている。サムスンも長期的な視野の新技術開発を通じ、競争力を保つための戦略の登場が必要だ。目の前の利益のために協力会社に無理強いをしたり社員に犠牲を強要したりすることは、あってはならない。「李在鎔のサムスン」はグローバル企業にふさわしいコーポレートガバナンスと企業文化を通じ、国民に愛される企業にならなければならない。

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