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レコード歴20年のおっさんが、若者向けのゆるふわレコード入門書に思うこと

2015年5月19日 10時50分
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僕は高校生のときに初めてレコードプレーヤーを買って以来、約20年にわたって音楽はだいたいアナログレコードで聴いてきた。

で、本書『はじめてのレコード』は、書名が示すとおり初めてレコードに触れる世代、より具体的には、音楽はもっぱらiPodやスマホで聴いてきた、CDプレーヤーさえ持っていないかもしれない20代~30代前半の若者(もっといえば女子)をターゲットにした、ゆるふわなレコード指南書だ。
『はじめてのレコード これ1冊でわかる 聴きかた、探しかた、楽しみかた』レコードはじめて委員会著/DU BOOKS。はじめてアナログレコードに触れる世代に特化した、世界でいちばんかんたんな「レコード」の本。

ってことは、レコード歴20年の、30代後半のおっさんはコンセプト的にお呼びじゃないし、正直、僕自身も書店でこの本を見かけたときは「なにが『ゆっくり、ていねいな音楽生活。』(帯文)ですか。松浦弥太郎ですか」と歯牙にもかけなかった。

でも、そういう偏屈な、「女子供はすっこんでろ」的な態度はよろしくない。そんなんだから、「レコードはおしゃれ」とかよくいわれるわりに、実際レコード屋に行っても若い女の子なんて滅多にいないし、まれにいたとしてもそれは彼氏の買い物にしょうがなく付き合っている感じの、あからさまに退屈しているような子なのだ。

であれば、こうやって若い人(もっといえば女子)をレコード屋に誘導する本は歓迎すべきだし、僕自身もここはひとつ初心に帰ってみようと本書を手に取った次第。

さて、そんな本書の構成は、

1章 レコードを買いに行こう
2章 レコードを聴こう
3章 収納とお手入れ
4章 レコードをもっと楽しもう

の4章立てで、合間にレコードに関するコラムや「そぼくな疑問」などが挿入され、巻末には番外編としてオススメのレコードショップリストと用語集が収められている。

各章の中身は、「世界でいちばんかんたんなレコードの本。」を標榜しているだけあって、

「レコードはどこで買えるの?」「盤はどうやって持つの?」「A面/B面ってなに?」「回転数ってなに?」「どこから針を落とすの?」「曲の途中で針を上げてもいいの?」「っていうかなんで音が鳴るの?」

みたいな、一般的なオーディオ雑誌などでは「知ってて当たり前のこと」としてスルーされるであろうごく初歩的な疑問にも、ちゃんと付き合ってくれている。しかも、その語り口も、たとえば洋式トイレの使い方(大きいほう)に置き換えれば、

「焦らずに、便器のフタだけを開け(※便座まで一緒に上げてしまうと陶器部分が丸出しになり、座ったときにお尻が便器にハマってしまいます)、便器に背を向けてズボンとパンツをひざ下までおろし、便座に腰をかけてからリラックスして用を足してください」

くらいの「ていねい」さ。

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