【5月15日 AFP】米ニューヨーク(New York)で、ある飲食店の長年の常連客がウエートレスとそのめいに驚きの額のチップを残した。その額は10万ドル(約1200万円)。

 ニューヨーク・マンハッタン(Manhattan)地区のアッパー・イースト・サイド(Upper East Side)にあるドナヒューズ・ステーキハウス(Donohue's Steak House)で働くモリーン・ドナヒューピーターズ(Maureen Donohue-Peters)さん(53)はある日、弁護士から連絡を受け、同店に50年以上通っていた常連客のロバート・エルズワース(Robert Ellsworth)氏が亡くなったことを知らされた。さらに、東洋美術品の収集家だったエルズワースさんが遺言で、「あるもの」をドナヒューピーターズさんに残したと伝えられたという。

 自身とめいのモリーン・ベリー(Maureen Barrie)さん(28)に、それぞれ5万ドル(約600万円)、合わせて10万ドルが残されたことを聞いたドナヒューピーターズさんは「こんなこと、予想もしていませんでした。彼はとても気前のいい人で、誰に対してもとても親切だった」と語った。

 エルズワース氏は有名な東洋美術品商で、物惜しみしないことでも知られていた。地元メディアによると、1986年には2200万ドル(約26億円)相当の東洋絵画をメトロポリタン美術館(Metropolitan Museum of Art)に寄贈している。 米紙ニューヨークポスト(New York Post)によると、エルズワース氏の資産は2億ドル(約240億円)と推定されている。

 エルズワース氏は、ドナヒューズ・ステーキハウスが1950年にオープンした当時からの客でドナヒューピーターズさんの父親と親しくなり、2000年に店を引き継いだドナヒューピーターズさんとも親しくなったという。

 ドナヒューピーターズさんは「彼はいつも笑顔で、いつも同じメニューとドリンクを頼んでいました」と語った。「あの人が帰ってきてくれるなら、私は何でも差し出します。お金がいくらあってもあの人の代わりにはなりません」

(c)AFP/Mariano Andrade