dCprG / フランツ・カフカのサウスアメリカ

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フランツ・カフカのサウスアメリカ
DCPRG
ヴィレッジレコーズ (2015-05-13)
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菊地成孔のdCprG(表記の変更の意味はよくわからず)の3年ぶりのスタジオ・アルバムを聴く。前作からのメンバーの変更は、キーボードが新しく小田朋美になっている。活動休止前のDCPRGの最後のアルバム『フランツ・カフカのアメリカ』を更新するものとして本作がある、みたいなのだが、いや、正真正銘の、控えめに言っても大名盤、と言いましょうか。前作のヴォーカロイドだとかJazz Dommunistersだとかはなんだったのか……とあっけにとられるほどの高密度のアルバムだった。演奏の濃さと締まり方がすごいし、そのうえ、内容がとてもキャッチーである。

複数のリズムの同時進行は容易に聴取可能ではなくなっているのだが、実に『アイアンマウンテン報告』や『構造と力』ばりに音楽から「踊れ」と言われている感じがすごくする。もちろん『フランツ・カフカのアメリカ』の「ジャングル・クルーズにうってつけの日」だとかゆっくりと体に火がついてくる感じも最高なのだが(活動再開後のライヴの演奏とか最高だった)、このアルバムの沸点の低さもかなり良い。アルバムに込められている意図だとかは読めておらず、なぜ、使用されているテクストがシェイクスピアなのか、とかも全然わからないのだが、曲間に挿入されるポエトリー・リーディング、モジュラー・シンセとラテン・パーカッションによる伴奏に乗せて読み上げられるテクストが醸し出す雰囲気は、キップ・ハンラハンのアルバムみたいでカッコ良い。

とにかく締まりまくっている、と思う。参加しているミュージシャンは菊地成孔を含めて11人いるのだが、マイルスのロスト・クインテットだとか、あるいは菊地成孔自身によるダブ・ゼクステットの演奏ぐらいに聴こえる。つまりは、人数が2倍詰まった感じ、というか。なんかすげぇんである。ポリリズムだけじゃなく、ユニゾン部分も、こんなのライヴでどうやって合わせるのよ、と思ってしまい、ぜひ、ライヴで確認したい、と思う。しばらくライヴから足が遠のいてたけど、今度は行くぞ。行くんだ。

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