フォーブス社の「世界長者番付」には、マイクロソフト社のビル・ゲイツ氏やユニクロの柳井正社長のように、事業を興し財を築いた人々が名を連ねる。だがその中で投資家として財を築き、その財で実業家になるという独自の道を歩んでいる点で、ウォーレン・バフェット氏は他の富豪たちとは一線を画している。
1986年以来約30年間にわたり「世界長者番付」の10位以内にランクインしてきたバフェット氏は、「投資の神様」と呼ばれるにふさわしい実績と経歴を持つ人物である。わずか11歳で株式投資を始め、13歳で所得税を申告するまでに事業を成長させるなど、エピソードには事欠かない。
そんなバフェット氏の投資哲学は、単純にして明快であり、一般の投資家や投資初心者にとっても学ぶところが非常に多い。「投資の神様」の哲学を学び、より効果的な資産形成に応用していこう。
「投資の神様」ウォーレン・バフェットとは?
生きながらにしてすでに「伝説」ともなっている投資の神様、ウォーレン・バフェット氏の、投資の系譜・ライフスタイル・現在の事業などについて見てみよう。
バフェット氏の投資経歴
ウォーレン・バフェット氏が世界一の投資家であることに、異論を唱える人はいないだろう。6歳の時、彼はまとめて購入したコーラを1本ずつ売ることで差額が利益になることに気付き、それを実践してお小遣いを稼ぐことを覚える。11歳には実際に株式投資を開始し、13歳にして所得税の申告をするなど、投資の才能を開花させていった。
そして大学卒業後、わずか10,000ドルを元手に、株式投資だけで620億ドル(6兆5000億円)にまで増やしたのだ。2015年現在、フォーブス社の調べでは世界3位の富豪、1986年に初めてベスト10にランクインして以来、約30年間10位以内をキープしている。彼の安定した財務状況は、投資がギャンブルではなく確実に資産形成をする方法であることを実証するものとなっているのだ。
バフェット氏のライフスタイル
世界を代表する富豪でありながら、50年以上も前に地元オマハで購入した31,500ドルの家に、現在も住み続けているバフェット氏。また、彼が創設した投資会社バークシャー・ハサウェイから受け取る5万ドル(約500万円、現在は10万ドル・約1,000万円に増加)の役員報酬だけで長年生活をしてきたことなど、その質素なライフスタイルから「オマハの賢人」とも呼ばれ、尊敬を集めている人物でもあるのだ。
質素な生活を好むバフェット氏だが、桁違いの慈善活動を行うことでも知られており、アメリカ史上最高となる374億ドル(約3兆8000億円)を5つの財団に寄付している。いわゆる「ノブレス・オブリージュ」を体現する人物なのだ。
バフェット氏の現在の事業
2015年4月現在、すでに84歳と高齢ではあるが、まだまだ積極的に投資事業を行っている。自身が経営する投資会社バークシャー・ハサウェイは株式時価総額ランキング世界5位の企業であり、安定した利益を生み出す世界的な優良企業でもある。
「投資の神様」ウォーレン・バフェットが守る投資ルール
株式投資を行うにあたり、企業状況や為替・他の企業からの影響など、日々変動するさまざまな要素に敏感に反応し、売り時や買い時を見極めることが非常に重要であると考える人は多い。確かに短期で株を売買する場合は、市場をよく見た上での判断が効果を上げることは事実ではある。
一方、「投資の神様」バフェット氏はどのように投資を行っているのだろうか。バフェット氏の投資方法と、彼が基本とする投資ルールについて探ってみよう。
バフェット氏の投資スタイル
為替や景気などに大きく影響を受ける「短期的投資」ではなく、株式を長く保有することで利益を上げる「中長期投資」が、バフェット氏の主な投資スタイルである。
中長期投資をするには、会社の財務諸表を読み解く能力があれば十分である。為替や要人の発言といった不安定な他の要素に振り回されることなく、企業そのものを見極めることで投資が完成するのだ。
彼の投資スタイルは、所有するバークシャー・ハサウェイや彼自身の発言などからも読み取ることができる。その中から、株初心者でも応用できる企業の見極め方の極意を掴んでいこう。
バフェット氏の基準① 企業の事業内容がシンプルかつ支配的か
基本的にバフェット氏は、彼自身がよく知る企業の株式しか購入しない。事業内容を知らずして投資を行うことは、彼にとってはあり得ないことだ。また、企業をよく知るだけでなく、その企業がシンプルな事業体系を持ち、エンドユーザーから揺るぎない支持を受け、かつ今後も支持されると確信ができ、さらに業界内で支配的な地位を築いている企業のみに投資を行っている。
バフェット氏の基準② 借金が少なく利益を生み出し続けているか
バフェット氏は企業の財務諸表を見る際、ROE(return on equity:自己資本利益率)を重要視すると言われている。ROEは資本が収益に繋がっているかを測る指標、つまり、借金に頼らず自己資本からどれだけの利益を生み出しているかを示す指標だ。企業としてROEが高いのは当然あるべき形だが、この状態を長期的に続けている企業は、実際は非常に少ない。
バフェット氏の基準③ 経営者は優秀か、企業の未来像と重なるか
企業自体は、意思を持つ生き物ではない。経営者の能力次第で、利益を生むか損失を生むかが決まる。経営者が舵取りを誤ったがために業績を下げた企業は星の数ほど存在する。投資をする際には企業トップの経歴や業績を調べ、中長期戦略や今後の事業展開などを理解しておくようにしたい。
投資の神様に習って日本の株を買ってみたら
ここではウォーレン・バフェットの3つの法則に習って株式を検索し、実際に企業を選定したいと思う。
1,株を検索する
今回は初心者にも人気なSBI証券を使って実際に株式を検索する。まずはトップページからログインを行う。
次にスクリーニング画面へ映る。これは、トップページをクリックして頂ければ見つかるはずだ。
その後、株式を検索するが、その際に基準②「借金が少なく利益を生み出し続けているか」を元に検索を掛けてみる(スクリーニング)。今回はROE15%、自己資本比率80%以上の企業で検索してみた。
結果は以下の通りである。基準②に該当する上場企業は日本に28社存在する。この中から基準①「企業の事業内容がシンプルかつ支配的か」を元に検索する。また自分の知っている企業や、馴染みのある企業を選ぶ。
2,企業を選ぶ
今回はクックパッド(2193)を選ぶことにした。理由は以下の2つである。インターネットでのレシピ提供をしている企業でここまで大きい企業はあまり思い浮かばず、競合の存在が薄いこと、筆者が料理好きでクックパッドをよく利用しており事業内容への理解が多少あることが挙げられる。またクックパッドの株主になると、株主優待としてクックパッドのプレミアム会員(有料会員)が1年無料になる。1ヶ月300円なので、3600円分が無料になる計算だ。これも魅力的だと感じたのでクックパッドを選ぶことにした。
3,企業を見極める
企業を選んで満足をしてはいけない。次に選んだ企業が中長期的に利益を出し続け成長することが出来るかを見極める必要がある。最初にクックパッドの過去5年のチャートを見てみた。
2013年ころから株価の値上がりが顕著である。これはスマホが一般層に普及することに伴って、クックパッドへのアクセス数が増えさらに成長が見込めると市場が判断したためだと考えられる。その後、直近で2度ほど値下がりをしている点が気になったので、Googleトレンドで情報を調べてみた。(Google トレンドは誰でも無料で使う事が出来る)
①のタイミング、2014年にはいった直後でどんどん株価が下がっている。この直前にクックパッドは米国、スペインの類似サービスを行っている企業を買収し、世界展開に打って出いている。つまり、クックパッドはリスクを取ってチャレンジをしている。このリスクを毛嫌いしたのか、または世界展開を低評価したのか、株価を下げた理由はここにあるのではないかと推測することが出来る。だが、その後の株価が値上がりし、元の水準に戻ったことを考えると、結果としてこのチャレンジはうまく行っていると見ることも出来る。
②のタイミングでも一瞬株価が値下がりしている。これは、海外での公募増資による、1株利益の希薄化や需給悪化などによる一時的な影響と見ることが出来る。
株価が下がった要因は他にも考えられるが、企業基盤に大きな影響を及ぼす不祥事などではないことが分かった。逆にチャレンジをした結果なのでポジティブに捉えることも出来る。
4,その企業は中長期的に利益を出すことが出来るか
最初にクックパッドがいままでどのような経営成績だったかを見たい。クックパッドは過去5年、営業利益を出し続けている。また営業利益は右肩上がりで順調に成長している。今までの業績は問題なさそうだ。ウォーレン・バフェットが判断基準にしていると言われる、「5年以上営業利益を出している」という基準にも当てはまる。
最後の判断基準として基準③「経営者は優秀か、企業の未来像と重なるか」を元にクックパッドを見て行きたい。経営者についての情報はなかなか判断しづらい点もあるので、IR情報や、決算報告書から中長期戦略を読み解くこととする。
クックパッドの今後の戦略は大きく2つだと見て取れる。1つが世界展開の加速である。海外の類似サービスを買収するなどして事業地域を拡大すると同時に、日本で培ったノウハウを海外にも展開するという戦略である。日本料理は海外でも人気が高いので、その点のシナジーも考えられる。それだけでなく、「料理」や「食欲」という人間の根源的なニーズに対するサービスなので、少なくとも衰退することは考えづらい。海外競合よりもスピード感をもって事業展開している点も好要素だと判断できる。
もう1つの戦略が、月間利用者5000万人という規模のユーザーを、関連性のある別事業へのプラットフォームにしていく点である。例えば、健康や家計などの事業領域である。クックパッドとの大きなシナジーは見込まれるが、競合サービスとの競争に勝てるかは個々のサービス次第と言うのが正直な所である。だが期待感は大きい。
5,買うかどうかの判断
以上の判断に従うと、クックパッドの株を購入するのはウォーレン・バフェットの基準に当てはめると買いなのではと考えることもできる。だが最後の判断基準がもう1つ存在する。ウォーレン・バフェットバフェット氏は、株を購入する際に「株価が適正であること」にも価値を置いている。正しく評価されている株式、すなわち正しく評価されている企業が、中長期的に見て価値を生み出すということなのだ。
株価が割安かどうかを示す指標はPERやPBRである。クックパッドはPER48.9、PBR10.95という数字になっている。4月20日付の日経平均のPERは17.72、PBRは1.52となっている。平均との比較で見るとクックパッドの株価は割高ということになる。だがこれはクックパッドの将来性、成長性に市場が高反応を示しているとも見て取れ、筆者が考えた判断の裏付けとなっているとも言える。
最終的に株を買うかどうかは個々人がよく考え判断する必要がある。「投資の神様」の哲学から学ぶべきものは非常に多い。じっくり読み解いて、投資における実学を学ばせてもらおう。
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