浦項工科大学(ポステク)の金用民(キム・ヨンミン)総長がこのほど、再任に失敗した。金氏は2011年、同校の25年の歴史で初めて外部から迎えられた総長だった。ポステクは金総長が1999年から8年間、米ワシントン大生命工学科の学科長を務め、学科の評価ランキングを全米5位に引き上げた手腕を高く評価した。しかし、金総長に対する評価は180度変わった。昨年の意識調査で、ポステクの教授の82%が金総長の再任に反対した。歴代の総長でどれだけ人気が低下しても、不信任率は60%を超えた例はなかった。
ポステクの学内対立はどこかで見たような光景だ。韓国科学技術院(KAIST)の徐南杓(ソ・ナムピョ)元総長も米マサチューセッツ工科大学(MIT)機械工学科の学科長などを歴任した経歴を評価し、2006年に韓国政府によって任命された。金総長とは異なり、再任には成功したが、英語による講義の全面導入、教授定年制改革などで学内の対立が起き、任期途中で辞任した。韓国科学技術研究院(KIST)の韓弘沢(ハン・ホンテク)元院長も2009年に初の外国国籍(韓国系米国人)の院長として就任したが、1年2カ月で辞任した。
「アメリカン・ドリーム」を実現した科学者が祖国で夢を実現できないのは、学内の意思疎通ができなかった側面が大きい。長年の米国での生活で、知らぬ間に『米国は合理的で韓国は非合理的』という考えに支配され、教授陣を改革のパートナーとして認めることができなかったとの見方が支配的だ。
しかし、感情的な部分を取り除けば真実が見えてくる。反対者も金総長、徐元総長が推進した改革は大学の発展だったと認めている。大学を世界に知らしめた点でも高い評価を得た。とすると、韓国文化に慣れない学識者を受け入ればれなかった韓国科学界の孤立主義も問題として指摘できるだろう。
それは数字にも表れている。韓国の研究開発投資の規模は世界6位で、国内総生産(GDP)に占める割合では1位だ。昨年の韓国の科学技術革新能力指数は、経済協力開発機構(OECD)加盟30カ国で7位に入った。しかし、国際協力の順位は15位と劣っている。国内の研究開発投資に外資が占める割合は10年前と同様、1%に満たない。欧州連合(EU)加盟国では研究開発投資の8%以上を外資が占める。また、外国の科学者との共同研究が増えたといっても、それは韓国の研究開発投資が増えたからであって、韓国の科学者に対する外国の「ラブコール」が増えたわけではない。
結局、韓国の科学界は国民が苦痛に耐え、税金をつぎ込まなければ、存立すら保障できないほど孤立していることになる。孤立主義は個々の大学レベルでも見られる。科学技術に最も特化した大学であるKAISTの定年保障教授審査に脱落すると、それよりレベルが落ちる大学も任用を渋る。どれだけ良い大学の医学部を出ても、地方では地元大学出身者に押される。
対立は常に双方向で起きる。国内科学界も海外から迎えた学識者の相次ぐ失敗を通じ、自身を見つめなおすべきだ。そうしてこそ、韓国の科学者のアメリカン・ドリームが「コリアン・ドリーム」につながる日が近づく。