この制度は1990年から法律で定められているが、2000年代までは年間100件程度しか申請がなかったという。ところが最近、申請件数が急増し、2011年に213件、12年に279件、13年に267件、昨年は362件と、増加の一途をたどっている。監置の決定が下ったケースも、11年の12件から、昨年は26件にまで増えた。ソウル家裁のある裁判官は「申請者の大部分は経済的困窮に耐えられなくなった母親たちだ」と話した。
「悪い親」たちが最も恐れているのは監置だ。罰金刑の場合、罰金を支払わなければ拘置所に収監され、その期間に応じて金額が差し引かれるが、養育費の不履行の場合、監置されても養育費が減額されることはない。そのため、裁判官が「養育費を支払わなければ監置もあり得る」と言及するだけでも効果が表れるケースが多い。監置されることにより、職場にも「子供の養育費を支払わない悪い父親」といううわさが広がるため、早く金を支払う方がましだと判断し、養育費を一度に支払うというわけだ。
今年3月からは、女性家族部(省に相当)の傘下の機関として、養育費を受け取れるよう支援する「養育費履行管理院」が発足した。裁判所の関係者は「司法と政府が離婚した家庭の子どもたちを保護するため尽力していることから、今後制裁措置の申請と、十分な養育費を支払いケースが同時に増加する」との見通しを示した。
一方、裁判所の内部では「監置命令をきちんと執行すべきだ」と指摘する声が出ている。裁判所が監置命令を下す際、当事者が法廷にいる場合には直ちに監置するが、裁判所に出廷しない場合には、執行令状を発行し、管轄する警察署に送っている。だが、この令状がきちんと執行されていないケースが多いというわけだ。
家裁の関係者は「養育費が十分に支給されなければ、子どもたちの養育費や教育をめぐる問題が生じ、両親の離婚で心に傷を負った子どもたちが、新たに傷を負うことになる。裁判所が厳しい措置を講じる以上、警察も積極的に協力してほしい」と話した。