-あなたと同じ世代の読者に言いたいことは。
「人間だけでなく、生物は全て『老齢』の影響を受ける。昔は大家族制で、面倒を見てくれる家族が傍らにいたが、核家族が一般化した現在では、高齢者も、一人で生きていくための何かを必要とする。それは短期間で準備できるものではないので、あらかじめ準備しておくことがぜひとも必要だ」
-今回の著書に載っている短編『結婚相談所』では、韓流スターに溺れる中年女性が主人公として登場する。小説家として、また大衆文化の専門家として、あなたが考える韓流ドラマの長所・短所とは。
「韓流ドラマの最も興味深い点は、日本とは異なり、『沈黙は金』だとか『語らぬことが美しい』といった、無難な人間関係ではなく、直接相手と会って率直に語っていることだ。あえて語らずともいいことをひょいひょいと語ってしまい、上品に見える女性が長い髪をつかんでけんかしたりもする。そして、視聴者の興味をつなぎ留めるため、主人公が突然記憶喪失になったりする。私は、こういう通俗的興味を用いた連結方法をほとんど使わないので、参考になる。こういう部分が、長所にして短所といえるだろう」
村上龍は長きにわたって、もう一人の村上、すなわち村上春樹と共に「ダブル村上」と呼ばれてきた。村上春樹は最近、インターネット上で9年ぶりに行った読者との対話で、しばしば村上龍を引用した。「私ではなく、もう一人の村上にする質問ではないのか」というジョークも飛ばしたほど。若いころから親しいといわれていることから、時々村上春樹を読んでいるのか、どういうジョークをやりとりしているのか尋ねた。「今の村上龍は大人になったようだが、もう一人の村上は、今でもあまり分別がないみたいだ」という、ある読者の声を伝えながら。
全ての質問に親切に答えてきた村上龍だが、この問いには空欄のままだった。すぐ前で本人が答えたように、「沈黙は金」「語らぬことが美しい」というのが、人間関係における座右の銘ということなのか。村上春樹の青春小説が今でも好きだという読者もいるだろうが、もう一人の村上の沈黙は、それほど嫌ではなかった。より成熟し、深みを増した、彼の小説と同じように。376ページ、1万2800ウォン(約1390円)。