「真実を語るべき政治家や教授でさえ陰謀説に染まっていて、やりきれません」。セウォル号の沈没原因を調査するために構成された検察と警察による合同捜査本部に参加したある民間人の専門家は「合同捜査本部が民間の諮問団まで参加させ、沈没原因を明確にしたにもかかわらず、いまだに陰謀説をまくし立てる人がいるのは理解に苦しむ」と表情を曇らせた。
昨年4月に発生したセウォル号事件の直後、事故原因をめぐり世の中を駆け巡った数多くの陰謀説は、しばらく影を潜めたかのように見えたが、4月22日に韓国政府が「早ければ9月にも引き揚げ作業を開始する」と発表したことで、再び勢いを増している。ここ1年間にわたった検察捜査、国会国政調査、監査院監査とセウォル号の運航関係者らに対する裁判所の裁判を通じてセウォル号の沈没原因は「不法改造」「貨物の過剰積載」「操舵(そうだ)ミス」との結論が出された。しかし、一部のネチズンや左派メディアだけではなく、知識人までもが相変らず政府の発表を信じられないと言っている。
あるインターネットメディアの代表は4月17日、動画投稿サイト「YouTube」にアップした動画で「珍島海上交通管制センター(VTS)の交信記録捏造(ねつぞう)説、国家情報院の実所有説、故意による急旋回説」などをあおった。ある日刊紙は4月16日、「政府が事件の対処に右往左往している上、抜け落ちたか廃棄された資料があるとされていることなどは、より大きな疑惑を呼び起こす原因となっている。納得できない点があまりにも多過ぎる」と報じた。左派性向のコミュニティーには、国家情報院の陰謀説を盛り込んだ書き込みが掲載されている。