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2015-04-12

『アイドルマスター シンデレラガールズ』 第7話 「I wonder where I find the light I shine...」 感想

言葉足らずな関係からその幕を開けてしまった346プロの面々。前話のやり取りからしていかにその物語のリスタートを切るのか、という点に焦点が絞られた本挿話であったわけですが、そんな心配も杞憂に終わるそれぞれの向き合い方にはただただ頷くばかりで、概ね期待通り、予想通りの話の締め方をしてくれたのではないかと思います。

それこそ言葉を紡ぐことに対し臆病になってしまったプロデューサーと何かを信じることに辛さを感じてしまったアイドルたちとの軋轢は一筋縄では埋められない大きな溝を作り上げてしまったように見受けられたわけですが、結局、その溝に在るべき筈の応えってそんなに難しいものじゃ決してなかったってことなんですよね。

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だって蓋を空けてみれば彼女たちに足りなかったことってそれこそ “言葉” だけであった筈で、それ以外の何もかもは正直言って十分に備わってはいた筈だとも思うんです。

分からないながらも懸命に努力を惜しまず進もうとする心意気とか、初めての大舞台で目の当たりにした光景に憧憬を抱ける原石としての片鱗とか。それこそ、「あなたにとってアイドルとは?」 なんていう質問にだってきっとしっかりとした答えを返せない中にあって、それでもその場所に “何か” を見出しその足を踏み出すことの出来る勇気のような。

そうしたようは “アイドルとしての資質” を持っていたからこそ彼女たちはここまで来ることが出来たのでしょうし、むしろそうした芯の強さがあれば誰もがアイドルになれるのだと語ってくれたのは他でもなくこの 『アイドルマスター』 という作品だったはずで、そうした影を踏襲しながらも彼女たちは新しい時代を切り拓くよう日々その輝きを増していたように思うんです。

けれどいつの時代も、どんな時も “伝えなければ伝わらない想い” というものは至る所に遍在するわけで、ただ夢を同じくして集まった日の浅い関係の彼女たちは、きっとその大切さになかなか気づくことが出来ていなかったのだとも思うんですよね。それは勿論プロデューサーにしても、未央にしても同じことで、曖昧な言葉で諭すのではなく、距離を置き牽制するわけでもない。言葉で。心で。それぞれが正面からぶつかることの重みを彼女たちは知らなかったんじゃないかって。

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それこそ伝えようと前のめりになり過ぎてしまった過去の経験から今のような物腰に至ってしまったプロデューサーにしてもそれは同じことで、伝え過ぎて拒絶されたからじゃあ今度は彼女たちの目の届かない場所で、なんてそんな両極端なこと誰も望んではいなかったはずなんです。伝えたいことがあるなら伝えればいい。伝えて欲しいことがあるならそう伝えればいい。

むしろ今回の話でその立ち位置を明確に提示していたのは卯月と凛の二人だったわけじゃないですか。それこそまだまだ思春期な彼女たちではあるし、そうそう大人な意見を言えるわけでもなければ、何もかもを包み隠さず語ることだって出来るわけではないけれど、それでもそれぞれが自分の出来る精一杯の “真っ直ぐな想い” を伝えようとしていたわけで、むしろ今回の話のテーマは彼女たちに仮託されていたんじゃないかって、そんな風にすら思えてきてしまって。

アイドルを魔法に掛けるのはプロデューサーの仕事。そういう前提の上で稀に起こるそれは逆転の現象。アイドルの真っ直ぐさに。アイドルの輝きに。アイドルの強さに勇気づけられてしまう。魔法を掛けられてしまう。何も成長するのは彼女たちだけの専売特許じゃない。私たちだって、プロデューサーだって彼女たちの影響を受けながら少しずつ前へ進んでいく、進んでいける、走り出せる。むしろ 『アイマス』 ってそうした “みんなで” 進んでいける頼もしさにこそその素晴らしさが凝縮されてるんじゃないかって思うんです。

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それこそアイドルたち全員と心を通わすための土台を築き上げるかのよう描かれるプロデューサーの立ち位置の変遷はまさに 「誰のことをも置き去りにはしない」 と雄弁に語り掛けているようで強く心を打たれてしまった上に、だからこそ彼の 「待っていて下さい」 の一言にも感情は込もり、それまで彼に抱いていた不安の一切も全て吹き飛んでしまったと言いますか。

あとは彼の “言葉” に耳を傾けよう、彼の “気持ち” に物語を委ねようと、あの瞬間、そう強くプロデューサーを信じることがようやく私自身も出来たのではないかと思います。

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故に、残すところはただ彼女たちが織り成す物語の軌跡を見守りつつ、そうして描かれる情景とフィルムの親和性の高さにただただ溜息をつくばかりで。雨が止むのも、陽射しが差すのも、綺麗な花々が咲き誇るのも、全ては彼女たちが 「前へと進む決意」 を固めたからに他ならず、だからこそそうした感情に同期しては自然と秒針だって刻まれる。

またそれはアイドルの成長やプロデューサーの成長、または物語の前進を刻む大きな一振りとなり、やがては魔法が解けたのち始まりの鐘を鳴らすための大きな礎になるという一つの予見にさえ満ちていたように思います。それも涙を拭い、もう一度前を見据えてみせた本田未央という一人の少女の再起と、346プロ、ひいてはニュージェネレーションズという新たな時代の幕開けをもって語ることの出来る未来への布石そのものでもあったのだということ。

それこそ 「丁寧口調、辞めてみない?」 なんて打診を出来たことですら彼女たちとプロデューサーの関係がまた一つ明確な変化を以ってその形を変えた証左に他ならないのだから、そんな些細なことでさえ “言葉を紡ぐこと” にどれだけの意味が宿るのかなんてことは推して図るべきことでもあったのではないでしょうか。

不器用でもいい。上手く言葉に出来なくてもいい。伝えること。伝えようとすること。なによりそうすることで言葉はなくとも通じ合える絆は育まれるのだということを今は強く噛み締めつつ、彼女たちのさらなる成長をこれからも見守っていければ嬉しい限りです。

大丈夫。大先輩の “彼女たち” だって最初はそうだったのだから―― なんて、少しばかりこれまでの軌跡も振り返りつつ。それこそ346プロにしか紡ぎ出すことの出来ない物語の音色を聴くことが出来ればとても幸せですね。

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