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 3日に告示された大阪府議選は、定数が前回の109から88へと異例の規模で減った。大阪市の西成区と大正区は合区されたうえ、定数が1減。大阪都構想で対立する大阪維新の会と、公明、自民、共産各党の公認候補が、2議席をかけて激しくぶつかり合う。

 維新現職の金城克典氏(43)は、大正区内の中学校の入学式に出席した後、選挙カーに乗って大正区内を回った。街頭演説では「都構想で大正区は湾岸区として生まれ変わる。どんどん子育て世代を呼び込みたい」と訴えた。

 沖縄出身で、4年前に松井一郎幹事長(大阪府知事)らに勧誘されて沖縄にルーツを持つ住民が多い大正区から立候補。新天地となる西成区での訴えの中心は、維新代表の橋下徹大阪市長が掲げる「西成特区構想」だ。子育て世代を呼び込むため、橋下市政が西成区内に小中一貫校を開校するなどした実績を紹介して回る。

 維新は前回2011年の大阪府議選で過半数を獲得。公約した通り、議員定数を21削減する全国でも異例の条例を強行採決した。

 この定数削減を受けて、昨年3月に62の選挙区を53に再編する区割り変更が府議会で決定。西成区は2、大正区は1で計3だった定数が両区合わせて2に減少。今回の府議選で屈指の激戦区となった。

 西成区を地盤とする公明党現職の川岡栄一氏(55)は、事務所前で「大阪は国際都市として1400年の歴史を持っている。東京のまねをしなくても、はばたいていける力がある。大阪再生のため、全力で戦う」と訴えた。

 公明党結党前の1963年、前身の「公明政治連盟」が府議会で初の議席を得たのが西成区の選挙区だ。それから半世紀以上にわたり、公明党は西成区の議席を守り続けてきた。

 不安は大正区での知名度不足だ。支持者を訪ねても「市議選の候補者かと間違われることも多い」(陣営幹部)。先月28日には山口那津男代表も応援に入るなど、てこ入れに躍起だ。

 自民党新顔の古松慶之氏(39)は、西成区の南海天下茶屋駅前で第一声をあげた。総合病院に勤める内科医。この日は白衣姿で「大阪市は一度五つに分割してしまうともう元に戻すことはできない。大阪を治そう。西成区から真っ当な大阪府政を取り戻そう」と訴えた。

 自民党は99年の統一選以降、西成区に府議がいない。大正区は現在、府議も大阪市議も不在。両区内で唯一の地方議員が西成区選出で市議団幹事長の柳本顕氏だ。古松氏は都構想をめぐり橋下氏と舌戦を交わす柳本氏と一緒に個人演説会を開くなど、反都構想を鮮明にして議席奪還を狙う。

 共産党元職の小谷三鈴氏(61)は大正区の選挙事務所前で「大阪都構想が大問題となっている。大阪市の税金収入を府に吸い上げる。一人の指揮官がやりたい放題でいいのか。維新政治を打ち破り、市民が共同して大阪市壊しをやめさせましょう」と呼びかけた。

 大正区で4期14年務めたが、前回は維新の金城氏に敗れた。合区した西成区の有権者数は大正区の1・6倍で、「川を渡れば私は新人」と危機感を募らせる。都構想反対へ「党派を超えて応援を」として、保守層の多い自治会組織の幹部も回っている。(上田真由美、太田成美、宮崎勇作)