海外資産:国税局見逃さず 「5000万円超」の未提出

毎日新聞 2015年03月28日 15時00分(最終更新 03月28日 15時41分)

国外財産調書の不提出と申告漏れの構図
国外財産調書の不提出と申告漏れの構図

 ◇「国外財産調書」未提出で加算税、初適用

 半導体商社「トーメンエレクトロニクス」株を巡るインサイダー取引事件で逮捕・起訴された会社前社長、戸田敏博被告(66)が、国外に多額の財産を保有していたのに、法律で義務づけられた「国外財産調書」を提出していなかったことが分かった。戸田被告は東京国税局から2013年までの3年間に約1億円の申告漏れを指摘され、このうち国外財産関連分の所得について、通常より5%多い15%の過少申告加算税を課された模様だ。調書不提出による加重制度の適用が明らかになるのは初めて。【太田誠一】

 戸田被告は半導体製造装置向けの精密工具や電子部品の製造・販売を手掛ける「理化電子」(東京都大田区)の前社長。関係者によると、シンガポールの関連会社に総額約20万米ドル(13年末当時のレートで2000万円超)の貸し付け債権を保有。預金も含めた国外財産は5000万円を超えていた。5000万円超の海外資産は「国外送金等調書法」により税務署への届け出が義務づけられるが、期限の14年3月までに調書を出さなかった。

 戸田被告は11〜13年、国外財産のうち貸し付け債権の一部(貸付金の利子収入)や、戸田被告が代表を務めていた台湾やシンガポール、アメリカなどの現地法人からの報酬など約1億円の所得について、日本で税務申告していなかった。海外納税分を引いた所得税の追徴税額は、加重された過少申告加算税を含め約2000万円という。

 一方、理化電子も同国税局の税務調査を受け、14年3月期までの2年間に5000万円超の申告漏れを指摘された。法人税率が日本より低いシンガポールの子会社の所得5000万円超について、同国税局は租税回避を規制する「外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)」を適用したとされる。

 同税制は、日本企業の子会社などが無税か税率の極めて低率な国・地域(タックスヘイブン)にある場合、子会社の所得を親会社の所得に合算して課税するもの。

 戸田被告と理化電子は既に修正申告に応じ、納税したとみられる。取材に対し、理化電子役員は「話すつもりはない」と回答を拒否し、戸田被告には逮捕前、文書で取材を申し込んだが回答はなかった。戸田被告は大手商社「豊田通商」が、トーメンエレクトロニクス株の公開買い付けを行うとの情報を事前に入手し株を買ったとして東京地検特捜部に今月、逮捕・起訴された。

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