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himaginaryの日記

2015-03-22

CPIとPCEの違い

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HicksianさんがRTされたMiles Kimballのツイートで、WSJコラムニストのJo Craven McGintyが書いた3/20付けNUMBERS記事が「The best explanation I have ever seen of why PCE (Personal Consumption Expenditure Price Index) is better than CPI」として紹介されていた。

以下は記事の概要。

  • PCE(personal consumption expenditures price index)はCPI(consumer-price index)に比べると一般には馴染みが薄いかもしれないが、インフレ率の指標としてはより包括的。そのためFRBはPCEの方をインフレ率の指標として好む。
    • PCEがカバーする支出範囲はCPIよりも広い。
    • PCEのウエイトに使われているデータは企業調査に基づいており、CPIウエイトに使われている消費者調査よりも信頼性が高い。
    • PCEでは短期間に生じる消費者行動の変化を調整する式を用いている。標準のCPIの式ではそうした調整は行われない。
  • 今週FRBが年後半の利上げを視野に入れたことにより、PCEは注目を集めた。PCEは33ヶ月連続でFRBの目標の2%を下回っている。
  • PCICPIは、消費者が財とサービスに支出する実際の価格の変化を追うという点では共通しているが、幾つかの重要な点で異なっている。
    • CPIは通常はPCEよりやや高い。
    • 両者は算式も異なる。
      • CPIは2年ごとに更新される商品のバスケットから導出される固定ウエイトを用いており、その間に発売された新商品や期中の価格変化を織り込めない。そうした新商品や価格変化は、消費者が商品を代替する行動を惹起する可能性がある。
      • PCEは連鎖ウエイト方式を用いることによりその点を織り込んでいる。仮にリンゴが突然高くなれば、消費者の購買数は減るだろう。そのため、ある期と別の期でリンゴのウエイトは変わってくる。連鎖方式では基本的にその平均を取ることになる。
  • とは言え、CPIにもその価値はある。PCEが対象とする個人支出の大半をカバーしており、税率区分の調整に使われるほか、社会保障フードスタンプ、および公務員や退職軍人向けの給付の計算にも使われている。買付契約や雇用契約や貸借契約での価格調整にもCPIが使われる。
  • ただ、消費者の財布ではなく経済全体の変化を見る場合には、やはりPCEの方が適切。
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