ルミネのCMが(恐らくリベラル派の)猛烈な批判によって中止に追い込まれたそうです。
第1話の
【需要】じゅ・よう
求められること。
この場合、「単なる仕事仲間」であり「職場の華」ではないという揶揄。
に激怒した人が多いとのことですが、この男の発言は「主人公を“女の子”扱いせず、男と同等に扱う」という意味なので、むしろリベラル派の理想の「ジェンダーフリー」のはずです。第2話では、男受けするフェミニンな外見よりも中身を重視する男(しかも趣味の歴史の知識は主人公に劣る)を登場させることで、「働く女」を持ち上げています。なぜこれに怒る必要があるのか意味不明です。潜在意識にある「痛いところ」を突かれたために、ルサンチマンが爆発したのでしょう。*1
ヨーロッパではリベラル政策が行き詰まったことで、かえってリベラル派が過激化していますが、日本も同じ方向に向かっているようです。
例えば仲間内のおしゃべりで私がシャルリーを批判する権利に触れたとします。社会的弱者が頼る宗教を風刺するのは品がないぜと。すると相手は『君は表現の自由に賛成じゃないのか、本当のフランス人じゃないな』と決めつけるわけです。上流の知識層でリベラルな人々が、あの大行進に参加した人々がです。
「敵」を圧殺する方法も同じです。
「今日の社会で表現の自由を妨げるのは、昔ながらの検閲ではありません。今風のやり方は、山ほどの言説によって真実や反対意見、隅っこで語られていることを押しつぶし、世論の主導権を握ることです」
ルミネのCMで主人公と対比されている女も、「いい男」をゲットするために性的魅力を利用することは生物として自然なことなので、非難される筋合いはありません(ダイバーシティ)。*2
現実的な左翼に進化する 進化論の現在 (シリーズ「進化論の現在」)
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道徳や政治的な理想として我々が何より優先させる平等という考え方であるが、ダーウィン的な物の考え方が何か大きな影響力を与えるわけではない。しかしそれは、男と女は繁殖な場においてそれぞれ役割が違っている以上は、効率よく繁殖することができるよう男と女で気質的、体質的傾向が違っていて当然だという考え方の拠り所にはなっている。
(女の男に対する【需要】は「カネ」ですが、これは問題ないのでしょうか。)*3
自分とは異なる考えの存在を認めない(建前とは逆に、言論の自由やダイバーシティを否定する)日欧のリベラルは、スターリンやポル・ポトと似ています(←同根)。
人間の本性は変わりうるものだと信ずるのは左派にとっては今も昔も重要なことである。それによって人間社会をかなり変えることができるという望みが見えて来るからだ。ここに、左派がダーウィンの考え方に拒否反応を起こしてしまう究極的な理由があるのではないかと私は考えている。何しろダーウィン主義は人間が完全なものになれるという左派の大きな理想を打ち砕いたのだ。
二〇世紀に入り、人間は完全であるという夢は、スターリンのソ連、文化大革命下の中国、ポル・ポト政権下のカンボジアで大変な悪夢と化した。そしてこの悪夢から目覚めた左派は大混乱に陥ったのである。
現実が理想通りにいかないことがリベラル派を攻撃的にしているわけですが、その攻撃対象は必ずしも「外」に限りません。「内」で抗争するのが左派の伝統です。
下の記事では、欧米のフェミニズム陣営で言葉尻を捉えて攻撃するモラルポリス現象が進んだ結果、現実から遊離してしまったことが指摘されています。
Moreover, Moi notes, the narrow understanding of concepts in feminist theory leads to a kind of moral policing of feminist usage. As a result scholars working on feminism and gender feel they have to apologize in advance before using certain words, to make sure they don't use them in the "bad" way *4
“We shouldn’t turn ourselves into a moral police where we have to make every possible ethical and political reservation before we can say anything. It is confining, and it’s bad for our intellectual creativity.”
文化大革命を想起させます。
しかし次第に毛沢東思想を権威として暴走した彼らは、派閥に分かれ反革命とのレッテルを互いに貼り武闘を繰り広げ、共産党内の文革派ですら統制不可能となり[…]
ルミネCMを攻撃した「紅衛兵」たちの思想も、おそらく日本の"ordinary women"から遊離しているのでしょう。
“Theory today has become so abstract and overgeneralised that it no longer says anything relevant about women’s lives.”
普通の男にとっても有害です。
Watson clearly believes that feminism — which, she stressed, is about equality and not bashing men — will also solve men’s problems. But, unfortunately, feminism in its present form has too often ignored sexist biases against males, and sometimes has actively contributed to them. Until that changes, the movement for gender equality will be incomplete.*5
一部の人のルサンチマンは、多くの男女にとっては迷惑千万です。「平和に滅びていってくれ」たほうが世のためかもしれません。
めんどうくさがる男たちが、実際のインタラクションから完全に撤退してくれたら、それはそれでいい。ギャルゲーでヌキながら、性犯罪を犯さずに、平和に滅びていってくれればいい。そうすれば、ノイズ嫌いでめんどうくさがりやの男を、再生産しないですみますから。
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