日比野容子
2015年3月12日21時08分
12日、昼下がりのJR札幌駅。青い機関車が引く深緑の列車が4番線に現れた。響き渡るシャッター音。大阪と札幌を結ぶ寝台特急「トワイライトエクスプレス」のラストランを、ファンはそれぞれの思いで見つめた。
出発までまだ2時間以上ある正午前、札幌市東区の主婦関谷碧(みどり)さん(33)は、長男葵(あおい)君(4)と札幌駅にやって来た。高校生の時、京都への修学旅行で乗った思い出の列車。22時間の間に刻々と移り変わる景色。徐々にぬるむ気温。「今度は家族で」と思っているうちに最後の日を迎えてしまった。「せめて葵と一緒にラストランを見送ろうと思って」。
午後1時半。埼玉県川口市在住の会社員男性(53)は、妻(53)と列車の到着を待っていた。「旅行会社にお願いしたら、取れちゃったんです。しかも、フランス料理のディナーまで」。トワイライトの旅は2度目。1度目は大阪から乗った。「日本海の夕日を見ながら食事を楽しみ、目が覚めたら、朝日に輝く内浦湾。車内にいながら別世界に行けるのが魅力です」
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