機能性表示食品:「体にいい」夏にも店頭に 消費者庁指針
毎日新聞 2015年03月02日 21時22分(最終更新 03月03日 01時18分)
体にどのように良い食品なのかを、企業の責任で表示できる新しい「機能性表示食品」制度について、消費者庁は2日、ガイドライン(指針)を公表したが、国の審査がない届け出制のために、食品業界にとっては迅速な商品開発や市場投入につながる面もありそうだ。一方、制度導入後の調査などで商品の効果や安全性の科学的根拠に疑問が生じたら、同庁の指示や命令で企業が新制度の利用を撤回することもあり得るとしている。
新制度では、信頼性の高い論文などで効果を証明できることを前提に、販売の60日前までに消費者庁に届け出る。今夏にもこの制度で商品が販売される見通しだが、同庁は制度の信頼を保つため、導入後は市場監視などに努める方針だ。仮に企業が新制度の利用撤回を求められたら、商品に「体にいい」機能性を表示できず、一般の食品として販売するしかない。
新制度で販売される商品は、容器包装のよく見える場所に「機能性表示食品」と明示。その上で「○○を含み、おなかの調子を整える機能があることが報告されています」などと表示する。
また1日の摂取目安量や効果的な食べ方、問い合わせ先なども表示する。
新制度を利用する企業は、医薬品と併用した場合のリスクを確認したり、健康被害情報を収集し消費者庁などへ報告したりすることが義務づけられる。
消費者庁は2日、新制度について東京都内で一般向けの説明会を開いた。参加者は約1800人と関心が高く、「痛みの緩和や二日酔い防止の表示は可能か」などと質問が相次いだ。しかし同庁の担当者は「ダメな表現例は最低限示したが、表示可能な例をあまり言うと自由な発想を妨げるので控えたい」「科学的根拠については、必要な調査をする場合があり得る」などと、あいまいな答えに終始した。
終了後、食品メーカーの関係者からは「表示するための要件が厳しく、すぐに商品を出すのは難しい」「新制度は、表示できる範囲が先行する米国よりも狭く、期待したほどではなかった」などと困惑の声も聞こえた。【江口一、小島正美、山田麻未】