21人のエジプト人コプト教徒がリビアのスルトで「ダーイシュ(IS)」戦闘員の手で惨殺されたビデオの公開は、エジプトならびに世界に衝撃をもたらした。その数時間後にあたる昨日(16日)、エジプト空軍はダーイシュの主要拠点であるダルア(東部)を標的とした空爆を開始した。一方、エジプトの外交活動は、ロシア政府およびフランス政府の協力を得て、安全保障理事会において同テロ組織への「新しい対策」を採用するためのイニシアチブをとった。これは、アブドゥルファッターフ・スィースィー・エジプト大統領が、フランソワ・オランド仏大統領をはじめとしたヨーロッパの政府首脳ら、ならびにアラブ指導者らと電話会談を行った結果である。
ダルナにおける空爆は、スィースィー大統領の声明に即した形で実施された。声明の中で大統領は、リビアにおけるテロ行為の実行犯たちを「最も単純な人間性さえ持たない犯罪者たち」と描写し、彼らへの報復として適切な形式とタイミングで反撃する権利をエジプトは保持する」と述べた。
これはエジプト軍にとって、1991年のクウェート解放戦争(湾岸戦争)以降初めての国外軍事行動になる。今回の空爆には「F-16」機の編隊が参加した。
エジプトの公式情報筋が本紙に述べたところによれば、「今回の空爆は、報復としてではなく、エジプト国家の安全保障と正当な自衛権の枠組みの中で行われた」。また同情報筋は、更なる攻撃ならびに「リビア領土におけるテロリストを標的とした電撃作戦を行う特殊部隊の投入」が予測されるが、「大々的に陸軍を派遣することはないだろう」と付言した。
更に、「リビアにおける対テロ軍事行動について、エジプト政府は湾岸諸国から強力な支援を受けた」ことを明らかにし、「政治的努力は、包括的であるべき対テロ戦争の枠組みの中で行われる。それはダーイシュであれムスリム同胞団であれ違いはない。ダーイシュと戦う一方で、同胞団を受け入れている国々があるが、どうしてそのようなことができるのか?」と疑念をなげかけつつ、「この戦争は、シリア、イラク、リビアその他どのような土地においてもテロリストを追い詰めるものであるべきだ」との所見を述べた。
al-Hayat紙(2015年02月17日付)/ 翻訳:中山実佐子
■本記事は「日本語で読む世界のメディア」からの転載です。
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