限りなく純粋(クリア)な青春映画として〔前篇〕

1月9日に劇場公開され大ヒットを記録中の『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』。キャッチコピーに「この正義(システム)に最後の引き金を」と添えられたストーリイの骨子には、いったい何が秘められているのでしょうか。スピンオフ小説シリーズの『PSYCHO-PASS ASYLUM』で知られるSF作家の吉上亮が、主人公・常守朱の行動履歴から劇場版の“物語”を全力で分析します。

 本作は、人間の精神が数値化され、「サイコパス」と呼び習わされるようになった近未来の東京で犯罪を追う刑事たちの活躍を描いたTVアニメ—2012年放映の『PSYCHO-PASS サイコパス』および2014年放映の同作第2シーズン『PSYCHO-PASS サイコパス2』に続く、シリーズ3作目に当たり、初の劇場版となる作品です。

 総監督はTV1期と同じく『踊る大捜査線』の本広克行。

 脚本は虚淵玄(ニトロプラス)と深見真の黄金タッグが復活。特に本作は、一連の深見真作品を彷彿とさせてくれる物語運びとなっており、個人的には、物語後半の銃と酒を使った拷問シーンが非常にグッときます。

 監督は今回も引き続き塩谷直義。TVシリーズを上回り、今回も遠慮なしのゴア描写で気持ちよく人体を吹っ飛ばしてくれます。しかし、この観客を不快にさせない残虐表現のバランス感覚は非常に繊細だと思います。

 劇伴音楽も、TVシリーズに引き続き、菅野祐吾。

 そして、主題歌とEDは、コパスファンお馴染み、凛として時雨とEGOIST。

※※※

 プルースト効果というものがある。マルセル・プルーストの小説『失われたときを求めて』の冒頭、主人公がマドレーヌを紅茶に浸し、その香りをきっかけに幼年時代を思い出す、という描写に由来し、味覚や嗅覚をきっかけとして記憶が甦る現象のことだ。

 ところで、それは、わたし—常守朱にとって煙草の煙の匂いだった。棘を意味する銘柄の煙草をくゆらしたとき、わたしは、あるひとのことを思い出す。その男性(ひと)は、もう、ずっと前に姿を消したきりだ。
 彼
は、わたしにとってどんな存在だったのだろう。

 部下? 仲間? あるいは先輩? 憧れていたひと? 

 どれも正しいようで、間違っている気がする。なぜなら、 あのひとは、わたしが今まで出会ったどんな人間とも違ったから。何かに当て嵌めることもできず、やがて、彼は去り、ただ、あのひとがいた記憶だけが残った。
 そして、今でもあのひとは、わたしのなかから消えない。煙草の匂いが風に消えても、指には、その匂いが確かに残っているように。

(あのひとはいま、どこで何を—?)

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