イスラエル:猛反発 国際刑事裁の予備捜査開始
毎日新聞 2015年01月18日 21時51分
【エルサレム大治朋子】国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)がイスラム原理主義組織ハマスとイスラエルによる昨年夏の戦闘などについて、戦争犯罪に関する予備的捜査を開始すると発表したことに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は17日夜、「ばかげた決定を拒否する」と、強く反発した。両者による和平交渉の早期再開は、さらに困難な情勢となりつつある。
パレスチナは今月初め、ICCを規定するローマ条約への加盟を申請。ICC管轄権の受諾も表明した。パレスチナ自治区ガザ地区を実効支配するハマスとの昨年夏の戦闘で、イスラエルが「戦争犯罪」を犯したとして訴追を求めている。
ネタニヤフ首相は「国際法に最高水準で従うイスラエルを訴追しようとするなどばかげている」と批判。「ハマスは我々の市民を故意に狙って数千ものロケット弾を発射し、一方で、自分たちは人間の盾を使って市民の後ろに隠れていた」と述べ、戦争犯罪で追及されるべきはハマスだと訴えた。
一方、パレスチナ自治政府は17日夕、「正義が果たされるまでICCへの全面的な協力をおしまない」とする声明を発表。ハマスの広報官も同日、「パレスチナの人々は、イスラエルの指導者らが訴追され、その犯罪の責任を負わされるのを目にすることができるかもしれない」と、今回の決定を歓迎した。
ロイター通信によると、ハマス幹部は昨年8月、パレスチナのICC加盟申請に同意した。4月にもパレスチナの加盟が決定する見通しで、決まればハマスのイスラエルに対する無差別攻撃も捜査対象となりうるが、ハマスはそれを承知のうえでイスラエル訴追を求めている模様だ。