太陽がまぶしかったから

C'etait a cause du soleil.

器用貧乏な赤魔道士から「他人がやった方が早い病」の青魔道士にジョブチェンジしたい

器用貧乏に生まれて

 最近は、「自分、不器用ですから」というスタンスを作るようにしているのだけど、どちらかと言えば「器用貧乏」と言われてきたところがある。学生時代は文系と理系をフラフラしていたし、仕事においても営業支援・企画・顧客折衝・PMO・開発・保守などをフラフラしていた。このブログもジャンルが判別不能だと言われる。

 ある時期からは炎上プロジェクトに途中投入されて立て直しを試みる「ヘル専(=ヘルプ and 地獄専門)」になってしまい、いくつかの破綻したプロジェクトの足りない部分を抱え込んだ。僕が来たからメンバーが休職していくのか、休職するから僕が来るのか分からない感じになっていたし、その頃の後遺症は自身の心身にも未だに残っている。

中途半端なスキルにで「自分でやった方が早い病」

 でも、そんなのは全く誇らしい事ではなくて、こじれてからの仕事ばかりが上手くなっても発展性のある事ができないし、プロジェクト内で不足している領域を補うように動かざるをえなかったので、僕自身のスキルマップも無茶苦茶になってしまった。どれも中途半端で「それらしい」レベルのことしかできないハリボテである。

 それでも状況が状況だったので「自分でやった方が早い病」まで併発してしまい、正直な事を言えばプロとして恥ずかしいレベルの成果物を納品してしまった事もある。その割には「無茶ブリをなんとか完遂した」という一方的な視点からの達成感や誇りを感じたりもしていて、客観的には無様としか言いようがない。無能は無能故に自身の無能さに気がつかない。

自分でやった方が早い病 (星海社新書)

自分でやった方が早い病 (星海社新書)

 ファイナルファンタジーには白魔法と黒魔法がある程度扱えて、戦士に近い能力も持っている「赤魔道士」というジョブがある。前半は色々と出来て便利なのだけど、後半になるほどに特化型のジョブとの差が開いて扱いにくくなってしまうのが一般的である。程度は低いけど色々な魔法が使えるからと、ひとりで抱え込んでしまったらラスボスが倒せなくなる。

他人がやった方が早い病

 ヘル専から別のところに異動してからは多少の余裕ができたり、技術系の勉強会や上記のようなイベントに参加した事による幻想殺しが起っていった。おれ、大したこと無いぞ。なので「自分でやった方が早い病」から「他人がやった方が早い病」になる事を意識して、ふたつの行動指針を加えることにした。

  • 出来る限り他人に任せる
  • 成果物だけでなく「型」を観察する

 適切な対価とスケジュールがあれば他人がやった方が早いし、良い成果物が出てくる。出来ない事をしようとして望遠鏡を覗きこんでも時間ばかりが過ぎてしまうし、余計な指示によって効率が悪くなるぐらいならと仕事の進め方や使用ツールなどのかなりの部分を任せていた。これは「お前はもう必要ない」と言ってもらいやすくするためでもある。

他人の「型」を盗む

 その上で出来る限り、生データやソースコードをもらって中を見たり、作業や打ち合わせにも立ち会わせてもらって、その人の「仕事の型」までを拝借できないかという事を意識していた。二人一組でひとつのプログラム作成を行う「ペアプログラミング」という手法があるのだけど、「ペアデザイン」とか「ペアドキュメント作成」などをして、その人の動きを観察したり、レビューで通らないような事はその場で修正してもらっていた。

 公私混同もあったのかもしれないけれど、その方が上手く回ったし、僕個人が出来る事も増えていったように思う。その人が実際の仕事中にする事というのは、その人なりのTIPSの塊である。敢えて明文化するほどの事ではないとか、本人にとっては「当たり前」と思うことほど僕にとっては重要だったりもする。もちろん成果物の品質が最重要なのだけど、実質的に仕事のやり方までを納品してもらえるのは「お得」なのではないかと思う。

 そう考えると、僕自身は赤魔道士から、「ラーニング」をメインスキルとする青魔道士にジョブチェンジしている途中なのかもしれない。「ラーニング」した内容を他の場所で実行すると玄人扱いしてもらえる事が多い。それもハリボテになってしまってはいけないのだけど。

「できない」「やりたくない」を主張していきたい。

 結局のところで「できるフリ」をしてそのハードルをこなすためのバッドノウハウを蓄積するだけでは、成長の仕方が歪になってしまうし、最終的な成果物も自分の枠を超えられない。だから、もっと「できない」「やりたくない」を主張して、より優れた成果や知見を積極的に取り入れたいと思う。その方が楽しいし。

 「おれは助けてもらわねェと生きていけねェ自信がある」とは『One piece (巻1) (ジャンプ・コミックス)』のルフィの言葉だけど、今後フリーランスになっていくにしても「一匹狼」とか「自分の腕一つで」みたいな事は避けたいと考えている。もちろん食い扶持となる部分についてまで任せてしまうのはダメなのだけど、そうでない部分については積極的に任せてラーニングしたい。

 ここのところで、Google Docsによる多人数リアルタイム編集や、Google Hungoutの画面共有なんかも使っているのだけど、拠点が離れている相手について、どのように文章を書いたり編集をしているのかまでを観察可能なので、青魔道士として活動するための環境が整ってきているのかもしれない。そういえば、「個人の日記」を読むのが好きなのもそういう動機だったな。

FINAL FANTASY LEGENDS 光と闇の戦士

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