妖怪男ウォッチ

モンスター男とばかり出会ってしまうアラサー撒き餌女子の、ラブ魔窟サバイバル日記。

「愚かな女よ、光あれ」とデートした唯一神はわたしに告げた

唯一かつ絶対なるおのれへの忠誠と服従の姿勢を試すため、旧約聖書の神は「愛すべき一人息子をいけにえに捧げよ」と荒野のアブラハムに告げましたが、まさか21世紀の新橋で「自分への服従を示すために供物を捧げよ」とデート相手に言われることになるとは思いもしませんでした

旧約聖書を知っていますか (新潮文庫)

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今回のモンスター男:ヤハウェ唯一神)男

付き合ってた彼氏が仕事でプライドを折られて人格崩壊、ネトウヨミソジニーになって*\(^o^)/*というモンスター案件があり、男性に怯えていたころのこと。飲み会で一緒になったことがある年上の男の人とLINEをしていて、お互いの元カレ元カノの話になりました。

 

「表面上は優しかったんだけど、表に出してなかっただけみたい。壊れて一気にタガが外れちゃって、自分が気にいらないことはぜんぜん受け入れられない人になってしまった。対話がもー不可能だったので、お別れしました」

「俺は逆で、元カノのダメなところを受け入れすぎてしまったのが原因かな」

 「そうかー相手のいいところも悪いところも受けとめられる関係が理想だよね」

 

表面上は優しいけどじつは狭量だった元カレのダメージに疲弊していたわたしは、「相手のダメなところでもちゃんと受けとめられる人なんだ」というところに好感を持ちました。ちょうどお互いに恋人もおらず、しかも本の趣味と食べ物の趣味がやたら合ったので、あれよあれよとデートする関係に。「本を読む人が周りにいないから、ぱぷこと一緒にいると楽しいよー」「つきあおう」となったのはごく自然な流れでした。

 

さて、つきあうことになってからのはじめてのデートでドイツ料理屋へ。ビールうまーヴルストうまーと幸せいっぱいなところに、おや?となる一言。

「世の中の女性の9割はつまらないよ。ドラマ見て時間を消費してるだけ」

文脈上は「だからぱぷこは特別だよ」というわたしへの口説き文句につながったのですが、相手の女性を上げるためにほかの女性をdisる男にろくなのはいない

これまでは一緒に行くごはん屋がおいしすぎて(食べ物につられました)食べものや本の趣味の話ばかりしていたので、最初に「この人は元カレと違って狭量じゃないんだー」と思って以来、相手の考えとかあまりチェックしてませんでした。ん?となったので、インタビュー開始。

 

「世の中の女性が9割つまらないっていうけど、じゃーこれまで付き合った人は残りの1割だったの?」

「もちろん9割のほうだったよ」

「9割は好きじゃないのに付き合ったの?」

「9割の女子は好きだよ。愛情の安売りしてくれるし」

 

愛情の安売り?????

 

「ぱぷこはわかんないかー。愛情の安売りしないもんね」

「いや、わたしはあなたが好きだけど、安売りってなに?自分が誰かを好きなとき、安売りしてると思ってるわけ?」

「まさか。自分から安売りなんてするわけないよ」

「てゆーか好意を持ってもらうことを安売りと表現することが、相手に失礼だと思う。そもそも安売りという言葉が指す意味がわからないから、定義を教えてほしい」

「なにか怒ってるの?別にぱぷこに安売りしろと要求してるわけじゃないよ。(店員さん:ラストオーダーでーす)あ、すみませんお会計をお願いします」

 

あのね、タイミングが悪かった。飲んでた。飲んでた。遅かった。おなかいっぱいで眠かった。でも、そういう幸せな気分がかっとぶぐらい、言ってる意味がマジわかりませんでした。ホテルに持ってこうとする彼を断り、翌日LINEにて再戦。

 

君の願いは受けとめておくよ(この俺がね)

「昨日の話だけど、愛情の安売りがどういう意味かちゃんと教えて。あと、それ以前に『愛情の安売り』という言葉はあまり好きではない。人の愛情を市場原理ではかってるようで、感じが悪く思う」

「それはどうも」

「それはどうも、てのは返事になってないと思う。わたしはわからないところは質問するし、それに対してはちゃんとした返事がほしい」

気付いてないみたいだから言っておくけど『感じ悪い』というのは感じ悪いよ」

 

トートロジーきたーーーーーーー)『感じ悪い』がいやなら『イメージが悪い言葉で人を不安にさせる』でもいいけど、伝えた内容ではなく言い方に批判するのは、ずるいやり方だと思う」

「ずるいと思うのは自分の思いどおりにならないからだと思うよ」

「????????いや、わたしの言った内容になにも返事も反論もしてないよねってことだよ」

お願いするなら言い方ってものがあるよね?フィードバックは受け取っておくよ。『愛情を値踏みするような言い方はしないでほしい』という願いは分かったので、心に留めておく

 

お願い????????フィードバック??????受け取っておく?????なにこの超絶上から目線????????

それでもね、まだちゃんと話そうとしたんです。ここまでは。

 

「わたしの言い方が悪くてちゃんと伝わらなかったり、不愉快にさせたのなら謝る。でも、最初に女性を馬鹿にするような発言をしたのはそちらだよね。言い方が悪かったのはお互いさまだと思う」

まだ立場がわかってないようだけど、ぜんぜんお互いさまなんかじゃないし、お互い譲歩し合うといった話でもないよ」

 

はい無理ーーーーーーーーーー*\(^o^)/*

 

人生ではじめてですよ、「まだ立場がわかってないようだけど」とか言われたの。「気づいてないようだから言っておくけど」という字面を見て「あなたがたに言っておく」というキリストの決めゼリフを思い出しましたね。

もーまじヤハウェ。君こそが唯一神

ユダヤ教の絶対にして唯一なる神にとって、人間は愚かで弱い生き物。だから、絶対の忠誠を誓った人間を庇護し、その願いを受け入れる。忠誠の証を示させるために、生贄を要求する。完全な一致。いや、神じゃなくてただの人間のはずなんだけど、精神だけはりっぱな唯一神

ようするに彼が言う「だめなところを受け入れる」というのは、わたしが想定していた「いいところも悪いところも受けとめる」のではなく、「自分よりも劣ってる女の愚かなところをこの俺が受けいれてやる」という意味だったようです。だから「愛情を安売りしてくれる=供物を出す」なら庇護下に置いておいてやる。だけど絶対なる自分に愚かな女がはむかうことは許さない。彼が不愉快にならないような言い方で「お願い」しなくてはならない。だから「立場がわかってないようだから言っておくけど」などという超絶上から目線の発言ができるわけですね。

そして、わたしが言ったことやわたしが不快になったことへのケアや気づかいなど最後までみじんもなく、「フィードバックは受け取っておく」のみ。すごい。る人間と話してる気がしない。ていうか、すべてがクソリプすぎてまったく1ミリも会話が成り立ってなくてグラグラする。

いちおう確認してみたところ「彼女のダメなところ=遅刻するところ」とかだったようで「君には1時間はやく待ち合わせ時間を伝えることにしようか」みたいなことを言ったら拒否られたことを「彼女のダメさを受け入れすぎて、彼女を甘やかした」と表現していたようです。いや、それ全然うけいれてねーから。注文つけたら断られたのを、甘やかした結果つけあがらせたとか、なに言ってんだ。まじ時空がゆがみすぎてて怖い。

 

圧倒的な自意識を、根拠も論理もなく肥大化させたヤハウェ

ヤハウェは世界をつくった神であり、実力も実績もみちあふれていますが、ヤハウェ男は根拠も論理も実力もなく、なぜか「自分は圧倒的に優れており、ほかの愚かな人間(特に女)とは立場が違う」という自意識だけを過剰なまでに肥大化させてしまっている

ここが、論理モンスターのコンサル男とは違うところかなと。彼ら、良心はないけど、頭の回転ははやいし、コンサルの仕事はできる人が多いですからね。


で、なんで私がデート時に見抜けなかったかというと、わたしのことを「愚かな9割の女」扱いしてなかったからだと思うんですね。どうやら読書量が自分より多いことが彼にとっては衝撃だったらしく、わたしのことをdisったりも「女のくせに」みたいな発言もデート時にはなかった。で、こういう神心が最初はぜんぜん見えなかったので、ちゃんとした人間だと思ってしまったわけです。

あとは、元カレのイヤな記憶がありすぎて「この人は違う!」て思っちゃったわたしが浅はかでした。まーふつう、目の前にいるのが神メンズだなんて想像しないけどさ。私が意見をいったときに「女のくせに歯向かってきた」という神心が爆発したのでしょう。

 

もちろんその場で、

「こういう高圧的な発言をする人とは関わりたくないので、つきあうって言ったの撤回します。さようなら」

と、史上最短の1週間未満でお別れしました。女の方から見限られるのもヤハウェ男にとってはありえないらしく、わたしの非論理性を非論理的に指摘してわたしを啓蒙しようとしてきましたが、エンライトメントなど断るっ!!!!!目の中に丸太がはいってるのは、わたしではなくあなたです。

あまりの話のつうじなさに体力がゴリゴリけずられて撃沈してるところに、仲のいい女の子からLINEが。

「初デートどうだったー?♡」

「別れた」

「えっ!!!!!??????」

ヤハウェだった」

ヤハウェ!????!!?!?!?!?」

どーいうことだと詰め寄られ(そりゃそーだ)、デート時に教えてもらったうまい店で2人でワイン2本を開け、ヤハウェーイして帰りました。あんなにヤハウェって言葉使ったの、人生ではじめてでしたよ。石版に掘って保存しておきたい級のありえないお言葉を下界に残して最大風速で去っていった唯一神メン。教えてもらった店のごはんはうまかった。

 

聖☆おにいさん(1)

聖☆おにいさん(1)

 

 ヤハウェじゃなくてキリストだったらまだよかったのになーと思いました。キリストの逸話ではイチジクに近づいたら実がなくてがっかりしたのでイチジクの木を呪ったところです。なぜ呪った。

旧約聖書を知っていますか (新潮文庫)

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 阿刀田さんの「知っていますか」シリーズはどれもおもしろいうえにわかりやすく、ハズレなし。「わたしは妬む神である」と高らかに宣言するユダヤ教の神すごい。ユダヤ教キリスト教は「救う対象」がけっこう違うので、知らない人にはオススメ。

いやーバベってた。同じ言語のはずなのに言ってる意味がぜんぜんわからなかった。

 

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コンサル男まじMURI☆でもヤハウェ男もまじMURI☆

神男は人間じゃなくて神男なので、もちろん元彼にカウントしてません。