(2014年11月26日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
韓国ソウル近郊の城南の小学校で、スマートフォンを見せる児童〔AFPBB News〕
西側世界のスマートフォンユーザーはまだ第4世代(4G)携帯ネットワークが提供する高速接続に慣れつつあるところかもしれないが、韓国が最初に4G技術を導入したのは2006年のことだ。
いま、韓国の政府と通信網、ハイテク企業は急ぎ、新たな第5世代(5G)標準の開発で主導権を握ろうとしている。5Gは現状で利用できる最高の接続より1000倍速いという。
韓国はインターネット接続のスピードとハードウエアの輸出における自国の指導的地位を固めながら、コミュニケーションの劇的な進歩を可能にする通信標準に向けた世界的な進展を加速させることを期待している。
競争は激しい。中国の3つの政府省庁はこの分野における中国の取り組みを推進するために連携しており、欧州連合(EU)は昨年12月、アルカテル・ルーセントやノキアを含む民間企業とともに5Gインフラストラクチャー・パートナーシップを創設した。
韓国の高度成長をもたらした産業政策とは似て非なる5Gプログラム
だが、韓国政府の未来創造科学部でICT(情報通信技術)政策の副部長を務めるイ・サンク氏は、韓国が「5Gを先導している」と主張する。今年、未来創造科学部は2017年までに新技術の試験を行い、2020年に導入する目標を掲げ、5G標準の開発に当初15億ドルを投資する計画を発表した。
サムスンやLG、SKテレコムなどの民間企業と政府の交流は、政府が1960年以降の韓国の高度成長を推進した産業政策を彷彿させる。
だが、イ氏は、韓国の5Gプログラムは、政府の資金と目標ではなく、企業自身が原動力にならねばならないと言う。「政府は民間部門にとっての引き金だ。民間部門は研究開発で非常に大きな成果を上げており、政府は高度なインフラを構築するよう企業を促す必要がある」と同氏は説明する。
政府の支援は、世界最速の有線インターネット網を構築し、韓国を世界で初めて4Gサービスを導入する国にするうえで有益だった。とはいえ、韓国で新たな通信技術を導入してきた過去の経験は、慎重な計画立案が必要なことを物語っている。