2014-11-25
「幻想再帰のアリュージョニスト」を好きな人にお勧めの「勇者と探偵のゲーム」と「幻想再帰のアリュージョニスト」を好きな人にお勧めの「勇者と探偵のゲーム」
--//(承前)
勇者と探偵のゲームがどういうものかはこの魔王様の記事を読んでいただくとして、
ライトノベルの形をした「物語」批判 - 大樹連司『勇者と探偵のゲーム』 - 魔王14歳の幸福な電波
- 作者: 大樹連司
- 出版社/メーカー: 一迅社
- 発売日: 2014/09/04
- メディア: Kindle版
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そしてまた、幻想再帰のアリュージョニストがどういう小説家は、また魔王様のこの記事を読んでいただくとして*1
神話、引喩、オカルトパンク。一部で妙に評価が高いWeb小説『幻想再帰のアリュージョニスト』とは - 魔王14歳の幸福な電波
--//ここからが本題。
と、まあ、ここでお勧めしたところで、読んだ人に拠って、まったく万華鏡のように見え方の姿を変える幻想再帰のアリュージョニストという小説に対しては、結局小島アジコ個人の視座からは“幻想再帰のアリュージョニストが勇者と探偵のゲームととてもよく似て見えている”というだけの話になんですが、まあ、それはまた別の話。
“しあわせなせかい”というものがどこかにあるとして、それは一体どういうものなのだろうということを考える。そもそも世界とは何かという話は、15年前くらいのセカイ系とは何か、という話の前座で散々やったのだけれども。とにかく、世界というものは、畢竟、個人個人の内面にしかなく、その認識を持ってしか、“世界”を定義することは出来ない。認識。そして、認識には、人間の“ものごとを認識するシステムの意図的な初期バグ”*2((あまりに当たり前にしてしまっているので、そのバグが存在することがそのバグのせいで普通は認識できない)((よっぽどひどい鬱になって、そこらへんの機能がぶっ壊れない限りは))(ここらへんの話は一回どっかでかくお))のせいで、“物語”を通じてしか認識ができない。
僕は、“しあわせ”という認識は、豊かさや瞬間的な幸福感ではなく、“自分が、自分の認識するその世界の物語の中に存在できていると認識できるか”であると思う。薬物などでブーストする“脳に物理的に接続する幸福感”では幸福力に限界がある。化学調味料で完全に再現された旨味でも、そんなに身体が満足しないように、人が料理を舌だけでなく胃袋で味わうように、幸福にも、物理でそれを感じる“胃袋のような物”があり、それには物語が必要なのだと思う。
で、その“幸福を感じる胃袋”を直接ハックできる仕組みなり、世界観を用意したのが、勇者と探偵のゲームと幻想再帰のアリュージョニスト、であり、そして、その物語の理想郷から、半歩はじき出されているのが、その主人公たちであり、そして、その物語の中で“主人公”として“語られること”によって、また、別の平凡な物語の中に落とし込まれていくという物語でもある。
--//ちょっと蛇足:ところでとなりの801ちゃん+3巻出ました
- 作者: 小島アジコ
- 出版社/メーカー: 宙出版
- 発売日: 2014/11/28
- メディア: コミック
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“自分を主人公にした物語を物語として語る”ということを、勇者と探偵のゲームと、アリュージョニストと、そしてこのとなりの801ちゃんは、(801ちゃんに関しては実際に)しているわけですが、実際それで、書いた本人が物語、つまり物語で語られるこの世界にたいしてコミット出来てると認識できるかといえば、結局自分だけれども自分ではない新しい物語の人物がそこにいるような感覚で、片足、片足、感はある。実際なんていうかラノベ感覚的にすごい体験をしているな自分。すごいぞ。
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