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「はやぶさ2」 多重の安全策の中身 30日打ち上げ
初代の苦難を生かし出発へ エンジンなど多重の安全策
30日に打ち上げられる小惑星探査機「はやぶさ2」は、4年前に小惑星の微粒子を地球に持ち帰った「はやぶさ」の後継機だ。相次ぐ故障で絶体絶命の危機に陥った初代の反省を生かそうと、エンジンの改良など多重の安全策を講じている。(草下健夫)
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◆技術を洗練
はやぶさ2はH2Aロケットで種子島宇宙センター(鹿児島県)を出発。約1年後、地球の引力を利用して加速する「スイングバイ」と呼ばれる軌道変更を行い、目的地の小惑星「1999JU3」を目指す。
小惑星には2018年夏に到着。約1年半をかけて内部の物質採取や地表の観測などを行う。物質を収めたカプセルは20年末の帰還時に本体から切り離され、オーストラリア南部のウーメラ砂漠に落下する。往復で6年間、約52億キロの長旅だ。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の国中均(ひとし)プロジェクトマネージャは「初代は挑戦的な計画をこなした一方、多くの故障や失敗も経験した。それを踏まえ、はやぶさ2は技術の洗練に注力し、大変優れたものが出来上がった」と強調する。
新旧はやぶさの装備の目玉は、主に往復の航路で使う「イオンエンジン」。燃料のキセノンガスをイオン化して電圧をかけ、加速して噴射する。燃費に優れる半面、従来の方式は耐久性が低いのが難点だった。