一連の記事の中で、おそらく半数くらいの人が「こいつ何言ってんだ」と思った部分があると思うので解説しておきます。今回の件だけでなく、ネットバトル及びネットコンテンツ全体の話です。
「お返事まだかなーわくわくぶるぶる」とお鍋かぶってお玉持って震えていた時間を返してください。本人が言わなくても、いわゆる彼の「友達」が「反論」を行ってくる可能性も考えて、非常食と懐中電灯も用意して待ち構えていたと言うのに、何にもありません。
ネットの有名人に喧嘩を売ると言う行為は、実は対等ではないのです。一応「自称100万PV」を名乗る方なので、最初は「これは反応してはいけない」と思っていたのです。別にかみじょーさんの記事で何と言われようと全く問題ないのですが、その「友達」に攻撃されるのはたまったものではないのです。だから最初は本当に結構ビクビクしてました。
「ネットバトル」は数で決まる
Twitterなどをしていればたまに見かける光景がありますよね。
@有名人「(ツッコミどころのある発言)」
↓
@一般人「@有名人 それおかしくないですか?」
↓
@有名人「この人がいじめる! RT@一般人@有名人 それおかしくないですか?」
↓
@一般人(通知欄が鳴りやまない眠れない夜)
ところが有名人と一般人を逆にすると、よっぽどのことがないかぎりこの構図にはなりません。どうしてこうなるのかというと、「有名人」と「一般人」の言論においては決定的な差があるからです。それは、フォロワーの数です。
フォロワーの数と言うのは単なる数字だけではなく、ネットバトルに置いては純粋な「戦闘力」となります。ここで誤解しがちなのは「フォロワーが多いからエライ」というわけではありません。「フォロワー数が多い=親衛隊の潜在数が多い」ということです。
「親衛隊」ってどんな人?
良い言葉で言うと「賛同者」「良き理解者」なのですが、悪い言葉でいうと「信者」「取り巻き」「太鼓持ち」です。
ネットで怖いのは、「喧嘩が必ずしも一対一ではない」ということです。言論さえあれば誰でも喧嘩に参加できて、容易に相手を攻撃できます。だからとっても簡単に味方をつけることができます。逆にとっても簡単に敵を作ることもできます。相手が有名人であれば「俺の大好きな有名人さんにひどいことを言うなんて、こいつはひどい人に違いない!」と思う人は多いでしょう。その場合、最初の「ツッコミどころのある発言」は一切無視されて「俺の好きな有名人さんに悪口を言った悪者を排除しよう!」という動きになります。
自分の大好きなドボン会会長も、少し前にネットの暗黒面に落ちたダートマ王子と戦った際、ダートマ王子本人よりもしんどいところがあったと書かれています。お疲れ様でした。
なんだかんだ言っても はてな村はいいところ - ネットの海の渚にて
「親衛隊」の心理と対策
ネットバトルをしなくても、「親衛隊」というのは非常に厄介です。はてなであれば「同期ブログ問題」「身内ブクマ問題」*1に直結しますし、それで滅んで行ったブログもたくさんあります。
「親衛隊」が攻撃をしてくるときの心理として、心底大好きなフォロワーが貶されている、という状態が「フォロワーが貶されている=僕を貶している」と脳内変換を起こす時があります。そこで自分が貶されたように後先考えず突っ込んでいくことがあります。
実はこの心理、別に貶されているときだけではなくて普段から「フォロワーが何か言う=自分もその通りだと思う=自分もそれを言ったつもりになる」という変換があったり、「フォロワーが褒められる=自分も褒められた気になる」という状態があります。お母さんが我が子が傷ついて怒るのは「我が子の痛み=自分の痛み」だからみたいなものです。
そんな感じでまるで自分事のように他人の喧嘩に突っ込んでくる人は恐ろしいです。結局「当事者の問題ではない」ので、どんなひどいことでも平気で言えるのです。当事者の「有名人」だったり「一般人」は言説をぶつけ合うことでリスクもリターンもあるわけなんですが、「親衛隊」本体にはそんなの関係ありません。「一般人」が負ければ「小物に負けない有名人は素晴らしい」と思い、明らかに「有名人」が不利になった場合は最終的に「他人事」なので「ドンマイ!」くらいにしか思いません。つまり失うモノのない「無敵の人」状態です。
対策は、とにかくそういう有名人に絡まないことです。ネット界隈では例えば声優やアイドルの親衛隊もいますが、個人的には夏の前の季節風ちゃんの親衛隊がすげー怖いです。少し前に見られた、冬の後の季節風ちゃんをエゴサーチしてドカンと押し寄せる様は恐ろしいです。いいですか、名前を出してはいけません。名前を出して言及したら最後、ドカンと来ます。ドカンです。死にます。最近は……ですが。
または、明らかにこちら側の味方を引き込むという方法があります。「ねーおかしいよねー!」と相手がやってきたら、こちらも負けずに「ねーおかしいよねー!」をやればいいだけです。バトルの判定は全て傍観者が決めることです。
実は前に似たような話をしてプチ燃えしました。
もはやレジェンド テレフォン人生相談の伝説 キレて電話を切る65才元女教師 - YouTube
ブコメ等で「こんな動画みたいな特殊な人があちこちにいてたまるか!」みたいなこと言われたけど、結構いるぜ。大事なのは「自分はこうならないようにしよう」って思い続けることだけだと思う。それだけでも自我を保てる。他人のアイデンティティーに乗っかると、最終的に間違った思想に染まっていく可能性もある。それがお金目当ての新興宗教だったりDV男だったり毒親モラハラだったり、被害が出てからでは遅いし洗脳を解くのはなかなか難しい。
最後に、とっても秀逸なブコメを紹介します。
ラジオねこきっくさんにがっかりしました - 無要の葉
ブロガーが必要以上につるむとこういう事に。相互ツイートだブクマだとスパミーな空気も出てくるでしょうし。技術的な話でコードを聞くとかならまだしもブログというのは一人で書くものだと思います
2014/11/17 17:59
「ブログというものは一人で書くものだと思います」
チーム運営の公式ブログならともかく、ほんとうに至言ですね。
額に飾っておきましょう。
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*1:ゲーセンでいう集団で連コインして筐体を独占している状態みたいなものです。