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 安倍晋三首相は19日午前、政府や経済界、労働界の代表が集う政労使会議に出席し、「今年末にも賃金が上がっていく展望を示せれば、好循環の2巡目は大きく前進をしていく」と述べ、昨年に続き経済界に賃上げへの協力を要請した。

 首相は輸出中心の大企業が円安で高収益をあげていることに触れ、「賃金支給総額の増額や設備投資、協力企業のコスト上昇の価格転嫁といった積極的対応が求められている」と指摘した。一方でサービス業や中小企業には生産性の改善を促し、「労働需要がタイトになった今こそ、賃金を引き上げられる環境をつくるチャンスだ」と述べた。

 経団連の榊原定征会長は会議後、記者団に「経済の好循環のために賃上げは必要だ。そのためには規制緩和や税制改正などの環境整備をして欲しい」と述べ、法人税減税などを前提に、賃上げに協力する考えを示した。連合の古賀伸明会長は「(賃上げは)労使が真剣に議論した結果。政府が言ったから簡単に上下するものでもない」と話した。

 首相は昨年の政労使会議で賃上げを要請し、春闘で賃上げが広がるきっかけになった。首相は総選挙でアベノミクスの是非を問う考えで、賃上げの再要請により好循環の継続を印象づける狙いもあるとみられる。