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 ネオン街に軒を連ねる福岡市の屋台。その営業の「適正化」を目指す市屋台基本条例が施行されて1年以上がたった。指導強化で「営業マナーが良くなった」と効果を強調する市に対し、現場からは「客足が減った」との嘆きも。何が起きているのか。年の瀬が迫る屋台街を歩いた。

 10月のある週末、九州最大の繁華街・天神地区の大通り。午後11時、歩道に並ぶ屋台は、どこも満員だ。

 「ここにいす出してよ。じゃまにならないよ」。のれんの外で待つカップルが屋台の横を指さした。創業25年の「なかちゃん」。すぐ横に、ガードレールに囲まれた幅2メートルほどのスペースがあった。だが、店主の中川陽一さん(52)は申し訳なさそうに、「そこ、ダメなんですよ。役所が厳しくてね」。不満顔で去っていく2人に頭を下げた。

■市屋台基本条例施行から1年余

 ラーメンやおでん、天ぷら……。100軒以上が集まる屋台は、ほかの街にはない夜の魅力の一つ。戦後の復興期から続くとされ、現在も中央区の天神や博多区の中洲などの繁華街に様々な屋台が軒を連ねる。

 一方で、市民からは「歩道をふさいでいる」「ゴミが散らかっている」といった苦情も多く、長年の課題になっていた。市は有識者会議などの議論を踏まえ、昨年9月に市屋台基本条例を施行。以来、指導員を倍の8人に増やして巡回を強化し、営業時間や食材管理といったルールの順守状況を点数化してホームページに公開するようになった。

 条例施行後初めて行われた今年3月の調査で、点数化できた約110軒の平均点は184・6点。昨年8月の調査より約40ポイントも上昇した。市路政課は「ルールが浸透し、悪質な店が確実に減った。引き続き適正化を指導していきたい」。市によると、条例施行時に146軒あったが、今年10月時点で129軒に減った。