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 戦後の占領期だった65年前、兵庫県西宮市の街なかに米軍機が落ち、31人が死傷する事故があった。市史にも記されず、忘れられようとしている惨事を後世に伝えようと、1人の男性が証言を掘り起こしている。米軍基地が集中する沖縄をはじめ、いまの日本で同様の事故は起きないか。証言集にまとめ、問いかけるつもりだ。

 事故は当時の新聞の片隅に10行足らずで報じられた。1949年1月8日午後、演習中の米軍B26爆撃機2機が上空で接触し、うち1機が西宮市の工場に墜落。乗員2人と工場にいた日本人3人が死亡し、26人がけがをした。

 現場はJR西宮駅の南東約1キロの西宮市津門大箇(つとおおご)町。いまは住宅街で、慰霊碑など事故を伝えるものはない。当時を知る住民もわずかに残るだけだ。