おもしろかった。どうもありがとう!少し早いけど振り返ってみましょうか。まず、ゲストの編成が予想以上に良かった。控えのロビーでも「なんで呼ばれたんでしょうねー」なんて四人で話していたんだけど、蓋を開けてみたら、相性、役割、人の善さ、どれをとっても完ぺきな編成だったと思う。ディレクターDelaさんの慧眼に敬意を表したい。それだけに、前半、テンポの良さと引き換えに、各人が準備してきた、ステイトメントの発表に終始したのは残念だった。フリーディスカッションの様に話せなかったかな、と思う。テレビの現場は初めてなので、一時間番組の収録としては、あの進行がベストなのかもしれない。休憩時間に、はてなのkiyoheroさん、mouri_yujiさんと話してみたら、「なんだか噛み合っていないですね。ちるぽよさんは、もう少し紙の話をするといいかもしれないですね」とのことだった。修正してみたけど、上手くいっていたらうれしいな。
ぼく自身の採点は、合格点です。はてなの物語について、はてなユーザーさんも腑に落ちる形で、正直に話せたと思うけど、叩かれたらごめんなさい。〈ハロー風景〉と俳句についてもしっかりと時間を割いていただき、深謝いたします。ぼくは今回、せっかく教育テレビに出演させてもらうんだから、ぼく自身が、日本人に言いたいことって、あるだろうか、と考えていた。とくに無かった。とくに無いんだけど、前日、新幹線の車窓から品川の夜景を眺めながら思い浮かんだのは、〈お金よりも大事なことがある〉ということだった。これだけは、何回口にしたっていいだろう。ぼくは歌舞伎が好きなんだけど、お金を選んだストーリーなんて、見たことがない。みんなが、愛や義理のために死んでいった。だから、現代人だって、同じように振る舞えるはずなんだ、と言いたかった。
そうしたら、若年の米重克洋さんが、見事な形でパラフレーズしてくれた。ぼくは付け加える必要が無い。ああいう言葉を、ああいう場所に、若い人がデリバリーしてくれるだけで、ニッポン大丈夫だね、と思わせてくれた。どうもありがとう。米重さんには、ニュースの仮想取引市場という、かれの大きな構想について聞いてみたかった。また、佐々木紀彦さんには、既に成熟しつつある〈ニューズピックス〉のコミュニティ運営について聞いてみたかった。あと、ドミニク・チェンさんとは、歳時記とクリエイティブ・コモンズの関連性について議論したかった。いろいろと心残り、反省点はあるんですが、そういうのがいくつも思い浮かぶというのは、いい顔合わせだったからじゃないかな、と思います。新しい友達が出来たのが、なによりうれしい。わくわくしています。
終盤に、日本経済新聞の文化面を引き合いに出しながら、〈ハロー風景〉のテーマである〈うるおい〉という言葉を口にしてみたら、ドミニク・チェンさんが気に入って、のっかってくるという、ミラクルがありました。ミラクルちゃんとありました。あれオンエアされたら、大原大次郎くんも飛び上がって喜ぶんじゃないかな(笑)。しかも、ドミニク・チェンさんは、「ビッグデータをたんなるレコメンデーションではなく、自分自身が何を表現したいのかを知るために活用できたら、それはうるおいになる」という、常人の発想ではないかっこいい展開してくれた。あれよかったな。ドミニクさん、隣で見ていると、青みがかった灰色の瞳がめちゃくちゃセクシーなんだよね。かれには、明治時代の写生句のコンセプトも刺さっていたから、近い内、飲みに行きます(笑)。最高。
青井アナウンサー、古市憲寿さんにも、深謝いたします。大好きです。古市さん、絶対かなわない。反射神経、突き放した冷静さ、最終的には紙の側につくという上質さ、そしてイケメンぶり。絶対かなわない。あと、今回の立役者はkiyoheroさん。はてなのマーケターとしてプロの仕事をしてくれた。株式会社はてなの見え方と、〈俳句の人、寸〉というプレゼンテーションを、釣り合わせてくれた。どうもありがとう。スタイリストとして同行してくれたのは、MY LOADS ARE LIGHTのやすろうくんです。九〇年代初期アップルコンピューターのデッドストックのTシャツを持ち込んでくれた。ということで、みんな最高だった、てことで、ぼくは、はてなブックマークのディレクター、juseiから依頼されている仕事に戻ります(笑)。この件は、これでフェードアウトしましょうー。
ジレンマの収録でした!なんか集合写真が、最終回っぽいな。まだ続きます。 #ジレンマ pic.twitter.com/vc52xWJO0n
— 古市憲寿 (@poe1985) November 2, 2014