大まじめに考えるほどつまらなくなる
—— 『笑う仕事術』(ワニブックス)にも書かれていましたが、今の日本全体がバラエティ番組的な「くだらない」ことを楽しむ余裕がなくなってきていると。
菅賢治(以下、菅) それは切実に感じますね。本来バラエティを作る人間にとって「くだらない」は最高の褒め言葉であるはずなのに、最近は「おもしろいとは何か」なんていうことを真剣に考えていたりする。バラエティなんて大真面目に考えれば考えるほど、つまらなくなっていくんです。僕の時代のディレクターは、礼儀知らずでしょうもない人間だったとしても、くだらないことをどんどん思いつけば大成することができましたが、今そういう人はあまり評価されない。
—— そもそも今のテレビ局では採用されませんし。
菅 僕自身はバラエティをずっと作ってきた人間ですが、テレビ局は別にバラエティを作るためだけの組織じゃない。やはり採用の場では、最終的に会社員としてどうなのかっていうところを見なくてはいけません。
—— 制作に特化した人ばかりを採用するわけにはいかないと。
菅 ただ、日本テレビの素敵なところは、たとえばアナウンサーを採用するときに、アナウンサーとしての資質だけでは採らないんです。前に「どうしてうちの会社はもっとアイドルっぽい子を採用しないんですか?」って聞いたら、「アナウンサーは同じ社員でも特殊な職種だから、いずれ表舞台に立てなくなったとき、どの部署へ配属されても大丈夫な人間を採用してる。社員として一生面倒を見る覚悟があるから、ほかの局とは採用基準が違うんだ」と。それを聞いて、この会社すごいなって思いましたよ。
—— たしかに以前、日本テレビの番組を取材したとき、窓口になっていただいた広報担当者が元アナウンサーの方で驚きました。
菅 広報だけじゃなく、営業とかいろんな部署にいますよ。そういうことができる能力を見極めて採用しているんです。
芸人は芸がないと生き残れない
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