滋賀県:ロケ地で人気 「ひなびている」年277日も

毎日新聞 2014年10月28日 14時00分(最終更新 10月28日 14時40分)

「るろうに剣心」日野城跡での撮影シーン=滋賀ロケーションオフィス提供
「るろうに剣心」日野城跡での撮影シーン=滋賀ロケーションオフィス提供
「るろうに剣心」日吉大社での撮影風景=滋賀ロケーションオフィス提供
「るろうに剣心」日吉大社での撮影風景=滋賀ロケーションオフィス提供

 ◇豊かな自然、古い街並み、受け入れ充実

 大ヒット映画「るろうに剣心」やNHK連続テレビ小説「マッサン」の一部が撮影されるなど、映画やドラマのロケ地として滋賀県が注目されている。琵琶湖に代表される豊かな自然や古い寺院、城跡、街並みなどが残っていることが人気の秘密。京都などに比べて観光客が少なく「ひなびている」ことも利点のようだ。ロケ実施数は2002年度の40本から13年度は89本と倍増。昨年度は1年のうち277日間は県内のどこかで撮影があったという。

 映画「るろうに剣心」では、「京都大火編」で主人公の緋村剣心(ひむらけんしん)が旅を始めるシーンは日吉大社(大津市)で、「伝説の最期編」で剣心が師匠から剣を習うシーンは比叡山中にある無住職の寺・安楽律院(あんらくりついん)(同)で、それぞれ撮影された。日野城址(日野町)も撮影に使われた。NHK連続テレビ小説「マッサン」の第1話では、主人公がスコットランドから婚約者を連れて故郷・広島に帰ってくるシーンで、甲賀市の田んぼが登場した。

 この他、映画では▽利休にたずねよ▽のぼうの城▽武士の家計簿−−など、テレビドラマでは▽信長のシェフ▽ごちそうさん−−などの話題作が県内で撮影された。特に戦前までを舞台にした歴史物の作品で使われることが多い。

 受け入れ態勢も充実。これらの作品では、02年に県や市町をメンバーに設立された「滋賀ロケーションオフィス」がロケ地探しに関わった。実働スタッフは県職員ら5人で、あらかじめ県内の約2万カ所を候補地として登録。依頼があれば台本を読んだり、あらすじを聞いたりして、製作側のイメージに合った場所を提案する。撮影のためにエキストラを集め、ホテルの確保をすることもある。「マッサン」の撮影では、地元農家に頼んで田植えの時期を早めてもらった。

 「るろうに剣心」の大友啓史監督は「滋賀では歴史ある神社仏閣や野趣あふれる自然が日常生活に溶け込んでいる」とコメント。「マッサン」の制作統括を務める櫻井賢・NHKチーフプロデューサーも、「(製作している)大阪から高速を使えば1時間ちょっとで来られる。エキストラ集めなどでロケーションオフィスが協力してくれるのも心強い」と語る。

 ロケーションオフィスのスタッフ、和田英之さんは「映画やドラマを通じて、多くの人に滋賀の魅力が伝わればうれしい」と話している。【竹下理子】

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