October 17, 2014
机に座ったまま、食べ過ぎることなく、世界食糧デーを静かに祝う方法がどこかにないものか。そう考えているあなた。もしかしてあなたは、見事にまとめられた統計データを、優れた詩と同じくらい感動的だと思ったことはないだろうか?
だとしたら、ナショナル ジオグラフィックの食のページで公開された双方向の統計グラフ「What the World Eats(世界で食べられているもの: www.nationalgeographic.com/what-the-world-eats/)」をぜひチェックしてもらいたい。
このグラフは、1961~2011年に世界の22の国で毎年何がどのくらいの量食べられてきたのかについてまとめたものだ。とはいえ、半世紀分のデータの集計表ではない。統計おたくのためのゲームとでも言えようか。グラフを見てなるほどと思った事柄をいくつか紹介しよう。
◆ 1. 中・・・
だとしたら、ナショナル ジオグラフィックの食のページで公開された双方向の統計グラフ「What the World Eats(世界で食べられているもの: www.nationalgeographic.com/what-the-world-eats/)」をぜひチェックしてもらいたい。
このグラフは、1961~2011年に世界の22の国で毎年何がどのくらいの量食べられてきたのかについてまとめたものだ。とはいえ、半世紀分のデータの集計表ではない。統計おたくのためのゲームとでも言えようか。グラフを見てなるほどと思った事柄をいくつか紹介しよう。
◆ 1. 中国人はすでにアメリカ人より多くの肉を食べている。
これはカロリーで見た場合の話だ。重さでは中国人の消費量254グラムに対してアメリカ人は381グラムと、我々のほうがまだ上回っている。しかし肉からの摂取カロリーとなると中国人のほうが上だ。理由としては、中国人は豚肉、しかも脂肪分たっぷりの豚肉を多く食べていることがあげられる。彼らは脂身が好きなのだ。
この100年間で中国は大きく発展し、それに伴い食料消費は急増した。最近になって牛肉の消費量も増えているものの、急激な上昇は見られない。1人あたりの1日の消費量はわずか14グラムほどだ。中国人は肉からのカロリーの3分の2を単なる豚肉ではなく、豚肉の脂肪からとっている(詳しくは国連食糧農業機関(FAO)の統計データを参照)。
◆ 2. アメリカ人の砂糖消費量は世界1位のまま変わらず。しかし、本当に問題なのは植物油の消費の急増。
1961年から2011年にかけて、アメリカ人の1日のカロリー消費量は2882カロリーから3641カロリーに増加した。だが、10月16日付けの記事にもあるように、アメリカ人はこれら全てを食べているわけではない。3分の1近くが捨てられているのだ。また、実際のところ、摂取カロリーは2005年から200カロリー近く減少している(2005年といえば、サダム・フセイン逮捕の後、金融危機勃発の前ということになる。どうやらアメリカ人はむやみやたらに食べ過ぎていたようだ)。とはいえ、1961年から26%増加しているというのは大きい。このことがアメリカでの肥満のまん延に関係していると考えられる。
だが、肥満の全ての原因が清涼飲料水をはじめとする砂糖の大量摂取にあると考えるのは早計だ。1961年からのカロリー増加量は759カロリー。そのうち、砂糖などの甘味料によるものはわずか54カロリーだ。砂糖の消費は10%程度増えたにすぎない。一方で、我々が日々の食事のなかでとる植物油は425カロリー分増加している。しかも、これは揚げ物に含まれる油を抜きにした値だ。
サラダ・バーが肥満の原因なのだろうか? いや、おそらくそうではない。原因を知るにはさらに踏み込んだ分析が必要だ。
◆ 3. 世界では大量の食糧が生産されている。
これ自体は特に驚くべきことではない。だが、数字から多くの事実が見えてくる。
この半世紀で、全世界で入手可能な食糧の量は31%近く増加し、アメリカを上回るペースで増えている。現在、世界で入手可能な食糧のカロリー量は1人当たり2870カロリー。日本は豊かな国だが2717カロリーしかない。
人口増加と気候変動が進めば、世界の人々が食べるのに十分な量の食糧を生産することは困難になるだろう。しかし、これらの数字が示すように、現在問題となっているのは生産ではない。食糧の流通と廃棄にこそ問題があるのだ。
Photograph by Tomohiro Ohsumi / Bloomberg via Getty Images