スタートアップ界隈で話題の「ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか」が噂通り良著でした。


「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」

ピーター・ティールはPayPalの創業者で著名な投資家。IT界隈なら知らない人はいない異能です。「シンギュラリティ」という概念を支持しているように、テクノロジーが人類を変えると本気で考えているオピニオン・リーダーでもあります。

で、さすがピーター・ティール。冒頭からして面白いんです。

採用面接でかならず訊く質問がある。「賛成する人がほとんどいない、大切な真実はなんだろう?」

ストレートな質問なので、ちょっと考えれば答えられそうだ。だけど実際には、なかなか難しい。学校では基本的に異論のない知識しか教わらないので、この質問は知的なハードルが高い。それに、その答えは明らかに常識外れなものになるので、心理的なハードルも高いからだ。明晰な思考のできる人は珍しいし、勇気のある人は天才よりもさらに珍しい。

僕がよく聞かされるのは、こんな答えだ。

「この国の教育制度は崩壊している。今すぐに立て直さなければ」 「アメリカは非凡な国家だ」 「神は存在しない」 どの答えも感心しない。

最初の二つは真実かもしれないけれど、多くの人が賛成するだろう。三つ目はおなじみの論争の一方に味方しているだけだ。

正しい答えは次のような形になるはずだ。「世の中のほとんどの人はXを信じているが、真実はXの逆である」。僕の答えは本章で後ほど紹介しよう。

では、この逆説的な質問がどう未来にかかわるのだろう?

突き詰めて考えれば、未来とは、まだ訪れていないすべての瞬間だ。でも、未来がなぜ特別で大切なのかといえば、それが「まだ訪れていない」からではなく、その時に「世界が今と違う姿になっている」からだ。

だから、もしこれから一〇〇年間社会が変わらなければ、未来は一〇〇年以上先にならないとやってこないことになる。もし次の一〇年でものごとが急激に変わるなら、未来は手の届くところにあるということだ。未来を正確に予測できる人などいないけれど、次の二つのことだけは確かだ。未来は今と違う、だけど未来は今の世界がもとになっている。あの逆説的な質問への答えのほとんどは、異なる視点で現在を見ているだけだ。視点が未来に近づくほど、いい答えになる。

さてみなさんは、「賛成する人がほとんどいない、大切な真実」はなんだと思いますか?

これ、ほんっとに面白い問いです。ぼくもどっかでパクらせていただきます。ぼくの答えをいくつか書いておくと、

  • バーチャルリアリティはほぼ完全に五感を代替する
  • 念じるだけであらゆるモノをコントロールできるようになる
  • 今世紀中に、人間の寿命が150歳くらいまで伸びる
  • 人類は昆虫を常食するようになる
  • 2050年までに原発はなくなる
  • 今世紀中に、人類はお金のために働かなくても済むようになる
  • 限界集落に若者が殺到する

なんてところとか、どうでしょうか、ピーターさん。

ぼくの答えはどうあれ、これってホントに、未来をどう観ているかなんですよね。だいぶ前に堀江貴文さんとお話させていただいたとき、「将来、人は死ななくなるんじゃないですかね?」と仰っていました。人間が生命の限界を超える、というのも予想されうる未来ですね。


「リーンであること」は手段であって、目的じゃない

書中では今流行りの「リーンスタートアップ」に対する根本的な反論も掲載されており、起業家の方はぜひとも読んでおくべき感じです。軽く引用しておきます。

エンジニア主導のシリコンバレーでさえ、今流行りの戦略といえば、変わり続ける環境に「適応」し「進化」する「リーン・スタートアップ」だ。起業家予備軍は、先のことは何もわからないのだと教えられる。顧客の欲求に耳を傾け、MVP(実用最小限の製品)以外は作らず、うまくいったやり方を反復すべきだと言われる。

だけど、「リーンであること」は手段であって、目的じゃない。既存のものを少しずつ変えることで目の前のニーズには完璧に応えられても、それではグローバルな拡大は決して実現できない。iPhoneでトイレットペーパーを注文するための最適アプリを作ることはできるだろう。

でも、大胆な計画のない単なる反復は、ゼロから1を生み出さない。だから、あいまいな楽観主義者が起業するというのは、何より奇妙だ──成功を実現するための計画がないのに、どうやって成功するつもりなのだろう?

リーンスタートアップは「失敗確率を下げる」方法なんですよね。リーンにやれば大きな成功が待っているわけではなく。「失敗確率を下げる」方法はきっと他にもあるでしょうし、まさに「目的ではなく手段」なんだと思います。

というわけで、スタートアップ界隈の方は必読の一冊といえるでしょう。Kindleで読めるのでぜひポチッと。


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