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ボカロとヒトのあいだ このページをアンテナに追加 Twitter

20141009 初音ミク「レターマン・ショー」出演雑感 このエントリーを含むブックマーク

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予告通り「レイト・ショー・ウィズ・デイヴィッド・レターマン」に初音ミクは出演しました。時間は番組最後の4〜5分でしたけど、実に堂々としたパフォーマンスだったと思います。英語詞による歌唱でしたが、ほかには特にアメリカナイズされたところもなく、いつものふてぶてしい初音ミクでした。裏方も含めて「踏んできた場数が違う」といった感じでしょうか。7年以上キャリア積んでますからね彼女。ぽっと出の新人じゃない。

クリプトン自らの演出なのか、番組スタッフによる采配なのか分かりませんが(たぶん後者でしょう)、スタジオライブの見せ方は非常に優れたものがあったと思います。おそらく収録スタジオは狭いのでしょう。ですがその狭さを言い訳にせず、ギターとドラムをミクの前方に配置するという大胆な策で、本来はない奥行きを生み出しました。これによりカメラはギタリスト越しにミクを撮影できることになり、他のカメラにもバンドメンバーが自然に映り込むことから、ミクとバンドとの一体感が視聴者によく伝わる画面になっていたと思います。少なくとも見ていて白々しくない。

普通逆ですけどミクの場合、生ではなく収録というのも新鮮でした。「たとえテレビでも計算高く作り込めば、ここまでクオリティの高い画面になるんだ」とアメリカのTV局に教えられました。日本でもフジテレビが一度チャレンジしてましたが、あれは何ともしょんぼりな出来でございました。同じ仕事でなぜこうも違うのか。

ホスト役であるレターマン氏も「今夜は日本からやってきたイロモノの紹介だヒャッハー」的な冷やかしはなく、「HATSUNE MIKU」の発音も含め、プロフェッショナルな司会業に徹していたと思います。ライブ後のコメント「(大麻愛好者である)ウィリー・ネルソンのバスの中にいるみたいだ」はミクがボードから消えた後の煙を見て連想したのか、「ドラッグでぶっとんだ時に見る幻覚のようだったぜ」と言いたかったのか。どちらかは本人に訊かないと分かりません。たぶん両方でしょう。


あと小ネタです。公式の映像ではカットされていますが、番組終了間際にこんなツーショットが映りました。

f:id:cobachican:20141010060147p:image

解像度は低くて分かりづらいですが、ミクの隣の男性はフランク・シナトラです。このツーショット、番組スタッフが20世紀を代表する男性歌手と21世紀を代表するであろう初音ミクを並べたかったのかな、なかなか粋なことをするじゃないか、と最初は感心していましたが、とある米国人のツイートをとっかかりによくよく調べてみると、このツーショットは思いのほか裏がありました。まず元の写真をご覧下さい。

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シナトラの隣、つまりミクがいた所に映っているのは、グロリア・ヴァンダービルトという米国では高名な富豪一家のご婦人です。このご婦人はこの日のトークゲストだったジャーナリストのアンダーソン・クーパーの母親なんですね。つまり番組スタッフはゲストの母親をミクに差し替えたというギャグなのか何なのかよく分からないことを最後の最後に仕込んだというわけです。いやー凝ってますね。分かる奴だけ分かればいいといった挑戦的な凝り方。もしかするとトークコーナーでそんな話題が出たのでしょうか?それにしたってコラまで作る熱情はいったいどこから湧いてくるのか。ミク愛なのか?


ともあれ初音ミクの米テレビ出演は無事終わりましたが、僕の予想に反して、ライブのチケットは即完売することなく、ロス二日間とNY初日はまだ普通に買えます。懐に余裕のある外人さん買いましょう。おそらくNY公演は最終的には二日間ソールドアウトになるでしょうが、ロスは余裕があります。外人さん買いましょう。


初音ミクはこれからも、空気を読まず、身内ウケを狙わず、内にこもることなく、外へ外へと突進し続けていくでしょう。究極的には人間からも離れていけばいい。その先が別の知的生命体なのか、高次の精神体なのか分かりませんが、ベクトルが外へと向いている限り、僕は追い続けていきたいです。内には興味がない。