僕はいま大学で先生をしています。学生たちはいろいろな悩みを相談しにやってきます。
友だちとの人間関係や将来の不安、自分ははたしてこれでいいのか? ほんとうは何をしたいのか? おなじみ異性の悩みもあれば、案外と多いのが兄弟のことをはじめ家族の悩みです。
それはさておき、大学三年生の後半から四年生にもなると、相談事は「就活」一色に染まります。
就活、つまり就職活動のことです。就活は大学生当人ばかりか、彼らの両親も悩ませています。自分の子供はちゃんと働いてくれるだろうか、難しい就職戦線を勝ち抜けるんだろうか、と。
いや、就職したらそれで終わりでもありません。幸い就職が決まったとしても、その仕事を一生やっていける人はじつに少ない。かなりの人が半年後、遅くても数年以内には、就活して苦労の末に入った会社を辞めてしまいます。
苦労して入った大学での半分近くの期間を就活に悩み、せっかく就職したのに、わずか数年で辞めてしまう。なんという時間と労力、何より「気持ち」のムダなのでしょう。
不思議です。いつの間に僕たちは、こんなに「仕事」で悩むようになったのでしょう?
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