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前編】過去や他者のせいにしても何一つ解決しない!
49万部のベストセラーとなった
『嫌われる勇気』。そのアドラー心理学に共感し、自身でも「陽転思考」という生き方の転換を唱えているのが作家・経営コンサルタントの和田裕美さんです。その和田さんと、
『嫌われる勇気』の著者・岸見一郎氏が行った公開対談の内容をダイジェストで2回に分けてお届けします。前編では、4年前に出会っていたというお二人に、アドラー心理学の特徴や、和田さんの提唱する「陽転思考」との共通点などを語り合っていただきました。(構成:宮崎智之、写真:田口沙織)
専門家による独占を拒否したアドラー心理学
和田裕美(以下、和田) 本日はよろしくお願いします。
岸見一郎(以下、岸見) こちらこそ。
和田 私がアドラー心理学と出会ったのは4年前。石田衣良さん原作のドラマ『美丘』(2010年放送)を観たときでした。ドラマは滅多に観ない私が、その1話だけ偶然観ていたんですが、大学の先生役をしていた志賀廣太郎さんが「アドラー心理学」に関する台詞を一瞬言ったんですね。それが素晴らしくて、思わずそばにあったティッシュの箱にメモしたくらいです。
私は「陽転思考」という考え方を皆さんにお伝えしていますが、それは“事実はひとつ、考え方はふたつ”で世界が変わるという思考法なんです。それまではこの考え方を裏付ける心理学は知る限りありませんでした。マズローなどにしても過去に原因を求めるので、変わることができないんですよね。でも、アドラー心理学なら、私の考えの裏付けになるかもしれないってその瞬間に思ったんです。
岸見 それで、私にご連絡くださったんですね。
和田 はい。それも大阪で開催された自分の講演会にお呼びして、講演まで聞かせて(笑)。
岸見 そうでしたね(笑)。
和田 その後、初対面であるにもかかわらず、3時間くらい一緒にいろいろなお話をしました。今日はご著書に書かれていない話も含め、聞かせていただければと思っています。
岸見 僕は友人から『美丘』でアドラー心理学が取り上げられていることを教えてもらいました。その後、amazonで検索してみたら関連書籍の順位が急上昇していました。しかし、それでも当時は今ほど知られていなかったのですが……。
和田 まさか4年後にアドラーがここまで注目されるとは思いませんでしたよね。アドラー心理学は長い間、メジャーになれない憂き目をみていて、研究者も少ないと聞きました。なぜなのですか?
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著者プロフィール
哲学者。1956年京都生まれ、京都在住。京都大学大学院文学研究科博士課程満期退学。専門の哲学(西洋古代哲学、特にプラトン哲学)と並行して、1989年からアドラー心理学を研究。精力的にアドラー心理学や古代哲学の執筆・講演活動、そして精神科医院などで多くの「青年」のカウンセリングを行う。日本アドラー心理学会認定カウンセラー・顧問。訳書にアルフレッド・アドラーの『個人心理学講義』『人はなぜ神経症になるのか』、著書に『アドラー心理学入門』など多数。古賀史健氏との共著『嫌われる勇気』では原案を担当。
京都府生まれ。作家、営業コンサルタント。人材育成会社「和田裕美事務所」代表。小学生のときから通知表に「もっと積極的にお友だちとお話ししましょう」と書かれ続けたほど引っ込み思案な性格にもかかわらず、上京後は外資系企業の営業職に就く。当初はおどおどして相手の目を見て会話することもままならず、長い間つらく厳しい下積み時代が続いたが、独自の「ファン作り」営業スタイルを構築し、試行錯誤を重ね、徐々にプレゼンしたお客様の98%から契約をもらうまでになる。それによって日本でトップ、世界142ヵ国中2位の成績を収めた。その経験から「考え方」と「行動」で運命はいくらでも変えられるのだと実感し、自分が行っていた思考パターンを「陽転思考」として確立する。執筆活動の他、営業・コミュニケーション・モチベーションアップのための講演、セミナーを国内外で展開している。女性ビジネス書の先駆けとして大きな反響を呼んだ『世界No.2セールスウーマンの「売れる営業」に変わる本』(ダイヤモンド社)がベストセラーになる。ほかに『人生を好転させる「新・陽転思考」』(ポプラ社)、『和田裕美の人に好かれる話し方』(大和書房)など著者多数。最新著作は『「私は私」で人間関係はうまくいく』(中経出版)。