消費税率:8%半年…給料上がったが、お金使わなくなった

毎日新聞 2014年10月01日 22時06分(最終更新 10月01日 23時04分)

 消費税率が8%に引き上げられてから1日で半年になった。増税前の駆け込み需要の反動減は徐々に解消するとの見方が多いが、物価上昇に給料の伸びが追いついていない。西日本の悪天候が追い打ちとなり、消費の回復はもたついている。地方の不振が目立つなど「消費の二極化」も進行。消費税率10%への引き上げ(実施は来年10月)の判断を年末に控え、政府内では増税先送り論がくすぶっている。【山口知、神崎修一、横田愛】

 「時給が上がった時はうれしかったけど、お金は逆に使わなくなった」。東京都内の商業施設で働く派遣社員の女性(30)の時給は今春、20円上がり1170円になった。17万〜20万円程度の毎月の手取りも約3000円増えたが、食料品や衣料品が昇給分以上に値上がりし「立ち向かえない」からだ。服を買うのはバーゲンセールのみ。頻繁に通っていた喫茶店にも、ここ数カ月足を運んでいない。

 厚生労働省によると、8月の1人当たりの現金給与総額は前年同月より1.4%増え、6カ月連続で前年を上回った。一方、物価上昇分を差し引いた実質賃金は2.6%減と14カ月連続のマイナス。物価上昇に賃金が追いついておらず、消費の足かせになっている。

 8月以降の急速な円安の影響も広がっている。円安は輸出型企業にとって、海外で稼いだ外貨を円換算する際プラスに働くが、食品や燃料など輸入品の価格は上がる。東京都練馬区などで4店舗を展開するスーパー「アキダイ」の秋葉弘道社長は「輸入牛肉や豚肉の仕入れ値は1カ月半前に比べ、1〜3割程度上がっている」と話す。仕入れ値の上昇分の転嫁を一部にとどめ、店頭価格を安く維持しているため客足は鈍っていないものの「利益率は低下し、ギリギリの状態」だ。

 駆け込み需要の反動減は縮小の兆しを見せている。高島屋が1日発表した9月の売上高は前年同月比0.2%減。衣料品や装飾品など高額品の売れ行きが戻っているといい、4月の13.5%減から大きく改善した。自動車関連団体が1日発表した9月の新車販売台数も0.8%減と、前月からマイナス幅は8.3ポイント縮小。東京スバルの岡部三裕営業企画部長は「新車効果で盛り返している」と話す。

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