「全ての球を取ってそれをコントロールできれば理論的には負けない」
それは丸尾くんにとって勝利の方程式とも言うべき正しい理論だ
だがこれが現実
キミが「勝ちたい」といった相手そのもの
そこを本当に目指すなら理論で埋まらない現実を今のうちにしっかり見ておくべきだ
それを埋めるのはキミ自身なんだから
【速報】錦織 日本人初のGS初優勝の快挙逃し、アジア勢最高位となる5位浮上ならず<男子テニス> (tennis365.net) - Yahoo!ニュース
遅ればせながら錦織選手、全米オープン準優勝おめでとうございます。テニスをやっていた人間としては、まさか自分の目の黒いうちにGSの決勝まで進む日本人が現れるとは思ってもみませんでした。「日本人がー」なんて言うと長谷川さんに怒られてしまいそうですが(笑)
さて、テニスと言えば、ぼくの中ではもう圧倒的に「ベイビーステップ」!
週刊少年マガジンで連載中で、現在NHKでアニメも放送中の大人気テニス漫画です。テニス漫画と言えば「テニスの王子様」が超有名ですが、ちょっとそれとはテイストが違います。例えて言えば、推理漫画で言う「名探偵コナン」と「金田一少年の事件簿」くらい違う。
試合中の考え方から戦略まで、現実のテニスに十分生かせるノウハウ満載の、まさに「本格テニス漫画」なのです。
そんなわけで、「ベイビーステップ」の作中に出てきた要素を、何回かに分けてぼくなりに解説していきたいと思います。
第1回 圧倒的に実力が上の相手とどう戦うか ~ vs大林良 vs江川逞
第2巻で描かれているこの大林戦は、我らが主人公エーちゃんこと丸尾栄一郎の記念すべき初試合。初試合、ということでいきなりシード選手との対戦です。
テニスでは(ていうか他のスポーツでもそうなんでしょうけど)いきなり実力者同士が潰しあわないように、それまでの戦績を元にトーナメントが組まれます。まずはシードを食わないと上には上がれない。
目の良さなどで一旦大林を戸惑わせたエーちゃんですが、そこはシード選手。すぐさまエーちゃんが「速球を速球で返す」ことしか出来ないことを見抜き、技術が必要な展開にして圧倒的優位を奪います。
ゲームカウント1-5になるまで「練習通りに打たせてもらえない」ことを嘆いていたエーちゃんですが、追い込まれたことで考え方がシフトします。
1球でも多く返すことに集中しよう!!
基本のストロークは今はいったん忘れる
どうせ基本どおりのプレーなんてさせてもらえないし
とにかく全部ラケットに当ててミスする可能性が一番低い真ん中のみを狙う!!
(2巻 vs大林良)
この「考え方の切り替え」が、普通なかなか出来ません。
自分が構えているポイントにボールが飛んでくるのを待ち構えて打つ、という基本動作がこの日までエーちゃんが練習してきたことでした。動いて打つとか、緩いボールを自分のポイントまで呼び込んで叩くなんてことは練習してきてない。練習してないパターンのボールを「練習通りに打つ」なんて出来っこないわけです。
その「出来ないこと」をやろうとして自滅して負ける、というのがありがちなパターンなんですが、エーちゃんは違いました。あくまで「出来ること」(この場合「とにかくラケットにあてて」「コートの真ん中に返す」こと)だけをやろうとしたんですね。
結果的に大林には届きませんでしたが、抜群の目の良さと自慢のノートを駆使したコートカバーリングはこれまでになく大林を追い詰めることが出来ました。
「全ての球を取ってそれをコントロールできれば理論的には負けない」?
次の日、コーチに「全ての球を取ってそれをコントロールできれば理論的には負けない」というヨタ理論を吹き込まれ、同スクールのエース・江川逞に挑むも、ボコボコにされるエーちゃん。
コーチの言葉はある意味真理ですが、絶対にそれだけでは試合には勝てません。「それだけじゃ勝てないんだよ」ということをエーちゃんに教えるための江川戦であり、大林戦でした。
「全ての球を取ってそれをコントロールできれば理論的には負けない」
それは丸尾くんにとって勝利の方程式とも言うべき正しい理論だ
だがこれが現実
キミが「勝ちたい」といった相手そのもの
そこを本当に目指すなら理論で埋まらない現実を今のうちにしっかり見ておくべきだ
それを埋めるのはキミ自身なんだから
(ベイビーステップ3巻 vs江川逞)
コーチのモノローグにある通り、理論と現実は違います。「全ての球には追いつけない」からです。
江川の超高速のサーブや、絶妙のドロップに全て追いつくのは不可能。「全ての球を取ってコントロール」するということは、裏返せば「自分がコントロールできない球を相手に打たせない」ということが大前提なのです。
それが「理論で埋まらない現実」であり、エーちゃんがこの漫画を通して取り組んでいく課題となります。
「全ての球をコントロール」するためには何を考えなければいけないのか。
次回に続く!
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