冷やしキュウリ:管理にご注意 低塩分で菌繁殖しやすく

毎日新聞 2014年09月13日 11時18分(最終更新 09月13日 13時24分)

祭りや催しなどで人気の冷やしキュウリ=太田阿利佐撮影
祭りや催しなどで人気の冷やしキュウリ=太田阿利佐撮影

 静岡市の花火大会で7月、露店の冷やしキュウリが原因で、500人以上が病原性大腸菌O157の集団食中毒を起こした。1本丸ごと浅漬けし、割り箸などを刺して食べるスタイルが数年前から広がり、水分補給にもなると大人気のキュウリ。だが塩分が低いので雑菌が繁殖しやすい。秋祭りやバザーなど地域の催しに登場しそうな食べ物だけに十分な注意が必要だ。【平塚雄太、井上知大】

 7月26日夜、同市葵区の安倍川花火大会会場は、午後8時を過ぎても気温が30度以上あった。1本200円で露天商の男性(38)が用意した氷で冷やした浅漬けのキュウリは1000本が完売。しかし、31日から8月初旬にかけ腹痛などを訴える患者が相次ぎ、O157による食中毒としては過去10年で最悪の509人が発症。うち115人が一時入院する事態となった。

 露天商約350人が加盟する東京街商協同組合(東京都台東区)の田中淳一理事長(63)によると、冷やしキュウリは2、3年前から扱う店が増えている。浅漬けが多く「さっぱりした味が人気で、暑い季節のイベント会場では定番商品になっている」と言う。

 従来、管理の行き届いた工場で製造されたり、家庭で調理し食べられていたりした程度で、大規模な食中毒を引き起こすことはなかった。だが問題となったキュウリは露天商の男性らが乗用車内で調理し、保管。感染経路は特定はできなかったものの、静岡市保健所は「不衛生な環境下にあったのは事実。汚染の程度は相当深刻だったのではないか」とみている。

 一般に浅漬けは加熱殺菌されておらず、塩分も低い分、他の漬物より菌が繁殖しやすい。2012年8月、札幌市の食品会社の浅漬け白菜が原因で169人が発症、8人が死亡するO157の集団食中毒が発生。厚生労働省は漬物の原材料を塩素系溶液で殺菌し、低温保管を徹底するよう衛生規範を改正したが、今回のキュウリは水で洗っただけで、消毒されていなかったという。また静岡県の条例によると、お好み焼きなど調理するものと違い、綿菓子や冷やしキュウリなど加工が単純なものは保健所の許可も必要なかった。

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