急増カードトラブル:割賦販売法改正など規制強化を検討

毎日新聞 2014年09月05日 06時00分(最終更新 09月05日 09時38分)

消費者トラブルの一因となったクレジットカード取引の複雑化
消費者トラブルの一因となったクレジットカード取引の複雑化

 クレジットカード利用で、手数料なしの「翌月一括払い」方式をめぐるトラブル相談が急増している。2013年度は04年度の4倍になった。背景にはカード会社の直接の加盟店ではなくても、「加盟店契約会社」「決済代行業者」を通じた店舗でカード利用が可能になった現実がある。国境を越えた取引で決済が複雑化し、解決が困難なケースも目立ってきた。このため経済産業省は、割賦販売法の改正も視野に規制強化を検討する方針だ。

 内閣府消費者委員会によると、カード利用関連の相談を04年度と13年度で比べると、手数料のある「分割払い」(10年度以降の集計は一部ボーナス一括払いを含む)は8479件から1万9985件と約2・3倍に増えたが、10年度をピークにやや減少した。

 一方、いわゆる「翌月一括払い」(09年度以前はボーナス一括払い含む)は、7153件から2万9993件と4倍以上に増加。10年度以降も倍増した。「業者と連絡がとれない」「商品が届かないなど約束不履行」などの販売業者の悪質な行為が原因の相談内容も目立つ。

 背景を探るため調査した消費者委は、決済の複雑化が原因だと指摘する。

 消費者委の報告書によると、クレジットカード発行会社は元々、カードを使える加盟店を自ら審査して契約しており、直接、加盟店がわかる関係だった。

 しかし多くの店舗でカード利用を可能にするため、「ビザ」「マスター」など国際ブランドのネットワークを活用し、直接の加盟店でなくてもカードを使える仕組みが整えられた。それを仲介するのが他のカード会社などの加盟店契約会社や、決済代行業者で、その結果、カード会社が直接、利用された店舗を把握できないことが一般化したという。トラブルの中にはネット上のブランド品サイトでカードで買ったが、偽物が届いたなどのケースも少なくない。

 さらに決済代行業者などが海外業者の場合、消費者がカードを国内で使っても決済は国境を越え、資金の流れが複雑化している。

 現在の割賦販売法では、分割払いの苦情発生時に調査義務を課すなどカード発行会社を規制しているが、こうした実態でカード使用の店舗を調べられず、納得しない消費者が交渉しようとしても困難な場合が目立つという。

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