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印南敦史印南敦史  - ,,  07:30 AM

「日本歴16年の日独ハーフ」から見た、日本のヘンなところ、素敵なところ

「日本歴16年の日独ハーフ」から見た、日本のヘンなところ、素敵なところ

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ドイツ・ミュンヘン出身にして、日本歴16年の日独ハーフ。そんな立場から「ハーフとバイリンガル問題」「ハーフといじめ問題」など、「多文化共生」をテーマに活動中。『浪費が止まるドイツ節約生活の楽しみ』(光文社)『ハーフが美人なんて妄想ですから!!』(中公新書ラクレ)等々、著書も話題に。ちなみに、もともと黒髪だったのに、「外国人っぽく金髪に染めてみたらわかりやすいかなと思って」金髪にしているという強烈なキャラクターの持ち主。

満員電車は観光地!?~世界が驚く日本の「日常」~』(サンドラ・へフェリン原作、流水りんこ画、KKベストセラーズ)は、そんな原作者(以下、著者)から見た日本に関する実話をもとにしたコミック&エッセイです。「外国人」としての立場に基づいた視点はとてもユニークで、しかも大半はコミックなので、楽しくすいすい読めてしまうはず。

しかしその一方、コミックにはさみ込まれたエッセイもまた秀逸です。コミック部分は実際に読んでいただいた方がより楽しめると思うので、きょうはエッセイから興味深い部分をピックアップしてみたいと思います。


ドイツの電車のなかでは


原作者が、サッカーのワールドカップの時期にドイツで地下鉄に乗ったときのこと。車掌さんが「あー、次の駅は××です。ちなみに、まだ1-0です! ご安心を~!」とアナウンスしたのだそうです。サッカーでドイツがまだ負けていないということを実況中継したわけですが、こういうことが許され、乗客もそれを楽しんでしまうのがドイツ。日本では考えられないことですし、同じようなことがあったらニュースになってしまうかもしれません。

それから、マナーのことにも触れています。日本では電車内でものを食べる人は少なく、それは非常識だとみなされますよね。ところがドイツでは、社内でものを食べるのは日常茶飯事なのだそうです。みんなリンゴやバナナなどを持参して電車に乗り、車内で食べるのだとか。そうすると当然ながらゴミが出ますが、ドイツの地下鉄の車内には専用のゴミ箱が備え付けられているのだというから驚きです。車内での飲食は私も嫌いですが、ゴミ箱が用意されているとなると、話は少し違ってくるかもしれませんね。(14ページより)


和製英語は日本だけ?


「ウィルス」ということばがあります。"virus"は英語読みすると「ヴァイラス」、ドイツ語なら「ビールス」。つまり日本語の「ウィルス」は、英語風ではあるけれど、実際に英語圏では通用しない「和製英語」。ところで同じように、ドイツにも和製英語ならぬ「独製英語」があるのだといいます。携帯電話のことをドイツでは英語風に"Handy(ヘーンディ)"と言うそうなのですが、実際の英単語"Handy"に「携帯電話」という意味はなく、完全に「独製英語」。

そしてドイツ語では「いじめ」を"Mobbing"(モッビング)と英語風に言うらしいのですが、ドイツ語は動詞のあとに"ing"がつくことはないという矛盾。ちなみに実際に英語圏でも"Mobbing"という単語はあまり使われず、英語で「いじめ」は通常、"bullying"(ブリング)と言うのだそうです。(17ページより)


恋愛の始まりは......


ドイツを含む北ヨーロッパでは、男性と女性が「おつきあい」を始める際に、男性側が「告白」することはあまりなく、「流れ」でカップルになることが多いのだそうです。「気がついたら、いつも一緒にいた」という感じが自然な流れなのだということ。著者はそのことについて、「日本人男性の方がハッキリと『おつきあいしていただけますか』というようにことばに出すので気持ちがいいと記しています。そういう人ばかりでもない気はしますが......。

ちなみに日本では2月14日のバレンタインデーに「まだつきあっていない片思いの相手」に告白する習慣がありますが、ドイツではバレンタインデーは「すでにつきあっている」カップルや夫婦間のイベント。しかも日本とは逆で、男性から女性にプレゼントを贈るのが一般的。それもチョコレートではなく、花を贈るのだとか。それはそれで素敵ですね。(44ページより)


ドイツ流Facebook


著者もFacebookには食べものの写真をよくアップしているそうですが、もし食べものをやめて「完全にドイツ流」にしたとしたら、日本人の友達が減るかもしれないと書いています。なぜならドイツ人がFacebookにアップするのは、ブラックジョークがメインだから。

「きょう、友だちが『エチオピア料理店にご飯を食べに行こう』と言ったけれど、その店にはご飯がないに違いない」というようなジョークを載せるということ(一時期、エチオピアでは飢餓が問題になっていたので、「エチオピアにはご飯がないじゃん!」というブラックジョーク)。

ヨーロッパでは普通に使われている冗談だそうですが、たしかに日本人的な感覚だと、趣味が悪いと言わざるを得ないかもしれません。それどころか、そんな感じの冗談を毎日アップしていたら、確実に「サンドラって、意地悪な人だったんだ」と幻滅され、日本人の友だちが減るとも著者は記しています。だったら自分の好きな食べものをアップして、それを見たドイツ人から「サンドラ、食べものの写真をFacebookにアップして、いったいなにが楽しいの?」と起こられる方がマシだとか(笑)。


「日本歴16年」だけあって、このように著者の視点は「ドイツ人的」でありながら、同時に日本人っぽくもあります。だからこそ目に見えるものを客観視できるわけで、そこが本書のおもしろさだと言えるでしょう。それはコミックの部分も同じで、きっと楽に楽しめるはず。というわけで、自信を持っておすすめします。


(印南敦史)

 

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