エジプト:「イスラム国」使わないで…宗教イメージ損なう
毎日新聞 2014年09月04日 10時00分(最終更新 09月04日 12時24分)
【カイロ秋山信一】イスラム教スンニ派の過激派組織「イスラム国(IS)」の脅威が増す中で、この名称がイスラム教のイメージを損なっているとして、スンニ派住民の多いエジプトが8月から、外国メディアに「イスラム国」を使わないように求める運動を始めた。イスラム国が国際テロ組織アルカイダから分離した経緯から「アルカイダ分離主義者(QS)」という代案を挙げている。
◇呼称変更の運動始める
この運動は、エジプトでイスラム教に関する公的な見解を示す役割を担うファトワ(宗教令)庁が中心になり、8月24日から始まった。インターネットなどを通じて賛同する署名を集め、ロイター通信や英BBC放送など36の主要外国メディアに呼称の変更を働きかけるとしている。
ファトワ庁の広報担当者は「(イスラム国との名称が報道されることで)国家だと誤解されてしまう。イスラム教を悪用しているに過ぎず、メディアは彼らの主張に沿った呼称を使わないでほしい」と説明している。
イスラム国を巡っては、エジプトやサウジアラビアなどスンニ派の主要国の宗教権威が「過激思想はイスラム教とは認められない」「イスラム教の一番の敵だ」などと非難する声明を発表している。