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ここがヘンだよ健常者! 障害者の意外なホンネとは?

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2014.08.27
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NHK『バリバラ』番組サイトより


 今週末、毎年恒例の『24時間テレビ』(日本テレビ系)が放送される。障害のある人が芸能人とともにいろんな挑戦をする姿に涙する人も多いと思うが、一方で「あんなのただの偽善だろ」と嫌悪感をあらわにする人も数多いかと思う。そんな嫌悪派の方々にぜひ観てもらいたい番組がある。それは、NHK教育テレビで放送中の『バリバラ』(毎週金曜21時〜)だ。

 テレビ業界内では“もっともチャレンジングな番組”として有名だが、その企画を挙げれば、それも納得。言語障害が原因でモテないと嘆く男性に「原因はそれだけか?」と投げかけ、模擬デートを決行し徹底検証する「モテナイ障害者改善計画」に、まったく役に立たないバリアフリー設備を紹介する「バリバラ珍百景」、統合失調症の妄想をスピード漫才に昇華させたコンビや、寝たきりコント職人が笑いで競い合う「SHOW-1グランプリ」……。先日も「出生前検査」をテーマにした回で、ダウン症のタレントであるあべけん太氏が街頭アンケートなどを行い“当事者の声”を伝え、反響を巻き起こしたばかりだ。

 そんな『24時間テレビ』では絶対に放送されない内容が目白押しの『バリバラ』だが、なかでもこの機会に紹介したいのが、「ここが変だよ健常者」という企画。健常者が気を遣って「よかれ」として行っていることが、当の障害者からは「ありがた迷惑」になっている例を集めたものだ。『バリバラ』から生まれたコミックエッセイ『「すべらないバリアフリー」のススメ!!〜マンガでわかる障害者のホンネ〜』(NHKバリバラ制作班・著、河崎芽衣・漫画/竹書房)から、そんな事例をいくつか紹介しよう。

 たとえば、視覚障害のある女性の例。帰宅途中の電車の車内で立っていた彼女は、酔っ払いのおじさんに「ねえちゃん、帰るんか? 一緒についてってやるわ〜」と声をかけられた。彼女は「慣れた道なのでひとりで帰れます」とキッパリ答えたが、次の瞬間、おじさんは「お前ら席譲らんかい?」と座る乗客に怒鳴り始めた。案の定、乗客はすごすごと立ち上がり、肝心の酔っ払いおじさんは“いいことをしたぞ!”という満足感からか、「気をつけて帰りな!」と言い残して下車。電車には、気まずい空気が立ちこめる。「車内に残された私が…電車を降りるまで針のむしろだったことは言うまでもありません…」と、彼女はそのときのいたたまれない心情を明かしている。

 また、下肢障害をもつ車いすユーザーの男性は、コンビニで上段にある醤油に手が届かず困っていた。そこに「何かお手伝いしましょうか?」と現れたおばさん。そして「車イスで大変でしょ? 私もね2年前に足を骨折してね…」と、なぜか自分の話が始まった。男性も気をきかせて「…大変だったんですね」と相づちを打ったことから、怒濤の“ケガ自慢”を繰り広げられてしまった。で、最後は「あなたもがんばってね」と言い残しておばさんは立ち去ってしまう。

「ケガでつらい思いをしたからあなたの気持ちはわかるからね」と共感を示したい。これは健常者にとっては障害がある人に歩み寄る優しさかもしれないが、度が過ぎればただの迷惑。せめて醤油は取ってあげようよ……と思わずにいられない。

この記事に関する本・雑誌

「すべらないバリアフリー」のススメ!! マンガでわかる障害者のホンネ

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