民間船:有事輸送 戦地へ誰が…船長「何も聞いてない」
毎日新聞 2014年08月03日 09時18分(最終更新 08月03日 09時35分)
「そんな話は全然聞いていない」。民間船員を予備自衛官とし、有事の際に自衛隊員を輸送させる防衛省内の論議を巡り、同省のフェリー借り上げに協力した船会社の現役船長の一人が、取材に戸惑いを口にした。戦地まで自衛隊員を運ぶ可能性について「考えたこともなかった。乗りたがる人間などいない」と話した。【平和取材班】
この船長は50代で、船員として20年以上の経験がある。現在定期航路で働き、常に乗客の安全第一を心掛けてきた。自らが危険な場所に行くことなど想像外で、会社からの説明もないという。
船長は「南西諸島なんて誰も行かない」と強調。会社から有事運航の話があったらどうするかとの問いにはしばらく黙り込み、「そうなったら考えるしかない。ただ、これまで何も説明がない」と話した。
防衛省に船を貸した新日本海フェリー(入谷泰生社長、大阪市、社員約450人)と津軽海峡フェリー(石丸周象社長、北海道函館市、社員約360人)は、いずれも取材に応じていない。新日本海フェリーは、舞鶴(京都府)など本州日本海側の主要港と北海道の小樽などの間でカーフェリーを運航する。津軽海峡フェリーは、函館と青森・大間(青森県大間町)間の2航路を運航。「ナッチャンWorld」号は、2011年の東日本大震災で自衛隊員や支援物資を被災地へ運び、同年の大規模演習では戦車4両と装甲車10両、隊員約230人を北海道から大分まで運んだ。