マンションの修繕積立金と管理費を安易に上げてはいけない理由写真はイメージです Photo:PIXTA

大規模修繕計画を予算不足で実施できないマンションが増えている。また、管理費は人件費の高騰などで年々上昇している。ある新築マンションは修繕積立金と管理費の合計で毎月平方メートルあたり1000円かかるものまで出てきた。70平方メートルで7万円である。もうナンセンスな金額だ。では、こうした費用を抑えるにはどうすれば良いのだろうか。(スタイルアクト(株)代表取締役/不動産コンサルタント 沖 有人)

大規模修繕積立金が足らなくなる理由

 大規模修繕のための費用は、当初は低めに見積もられる。なぜなら、新築販売時にこの金額が高いと販売不振の一因になりかねないからだ。これは中古売買でも同じことだ。住宅ローン以外のコストが高いと買う人が如実に少なくなる。

 新築の入居後数年たつと、このまま行くと積立金が足らなくなりますという話にすり替えられる。このため、毎月の積立金を増やすか、まとまった一時金を徴収するかという話になる。ここで、入居者で構成する管理組合ではひともんちゃくすることになる。

 それだけではない。マンションの大規模修繕費用は、建築単価が高騰したことに比例して高騰している。ここ10年で、震災復興や公共工事の復活や東京オリンピック開催が決まり、建築コストが大幅に上がった余波だ。

 この値上げを避ける方法の一つは大規模修繕前に引っ越してしまうことだ。私の初の著書『マンションは10年で買い替えなさい』では、新築から10年で住み替える理由の一つに大規模修繕を回避するためと書いている。12年・15年・30年周期で多額の修繕費がかかるが、新築から10年住む前に転居すれば良いのだ。しかし、それができないとなると、次の一手が必要になる。