NHKスペシャル「徹底検証 “除染マネー”」[字]…の番組内容解析まとめ


出典:EPGの番組情報


NHKスペシャル「徹底検証 “除染マネー”」[字]

史上初の国家プロジェクト「除染」・膨らむマネー5.6兆円を検証▽“想定外の事態が…”元官僚の告白▽追跡・相次ぐ企業の不正▽誰が負担するのか…巨大公共事業の全貌

詳細情報
番組内容
広大な地域の放射性物質を取り除く史上初の国家プロジェクト「除染」▽膨張するマネー5.6兆円・独自資料と当事者の証言で検証▽“手探りのまま走らざるをえなかった…”環境省元官僚の告白▽相次ぐ契約変更で大幅増額・その理由は?▽“復興のための金が時計・車・接待に…”追跡・相次ぐ企業の不正▽“誰のための除染なのか…”計画示されない帰還困難区域の住民たち▽巨額の負担を担うのは誰?前例なき公共事業の全貌
出演者
【語り】山根基世


ジャンル :
ドキュメンタリー/教養 - 社会・時事
ドキュメンタリー/教養 - ドキュメンタリー全般
ニュース/報道 - 報道特番


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(重機の音)

福島の大地に今も鳴り響く重機の音。

かつてない巨大公共事業「除染」です。

原発事故による放射性物質を取り除き

人々の暮らしを取り戻すために
始まりました。

除染作業や廃棄物の処理
そして その保管にかかる費用全体を

私たちは「除染マネー」と
呼ぶことにしました。

その総額は これまでに
およそ5兆6, 000億円に上っています。

取材を進めると
その一部が過剰な接待や

不当な利益供与に使われている実態が
見えてきました。

膨らみ続ける除染マネーが

将来世代の負担になる可能性も
浮かび上がっています。

税金での負担を避けるため
東京電力の株を売却し

費用の大半を賄うとした国の仕組み。

ところが 株価が低迷し

現状では
実現のメドが立っていないのです。

巨額の費用が投じられながら
検証されてこなかった「除染マネー」。

100人を超える当事者たちの取材から
その実態に迫ります。

私たちが取材を始めたきっかけは

除染に関わった会社の多額の申告漏れが
おととし発覚したことでした。

福島県いわき市にある建設会社
「相双リテック」。

国税局から 社長への報酬のうち

30億円は
会社の経費として認められないと

指摘されました。

「多額の金を手にしたことで

復興への志が
失われていったのではないか」。

そう語る会社の元幹部が

取材に応じました。

社長は 50代で福島県大熊町出身。

もともと原発で働いていました。

原発事故の惨状を目の当たりにし

故郷の復興のため
会社を立ち上げたといいます。

原発事故から2年後。

除染を行う地元企業として
取材した時の映像です。

除染事業の拡大に伴って 会社は急成長。

社員は 180人まで増え

復興を担う
地元企業の代表格になりました。

財務資料を見ると
利益が大きく跳ね上がっていました。

2016年の売り上げは 105億円。

作業にかかった費用などを差し引いた
いわゆる粗利は 56億円。

売り上げの53%に達していました。

これは 建設業の平均とされる十数%を
大幅に上回る割合です。

そのうち43億円以上が
役員たちへの報酬でした。

多額の利益は
どのように生み出されていたのか。

会社の工事の実績をまとめた資料です。

注文者の欄に並んでいたのは
大手ゼネコン 清水建設。

確認できた49件全てが
この会社からの受注でした。

「多くの除染作業を請け負うため

ゼネコン幹部への接待を繰り返していた」。

そう証言する人物もいます。

多額の利益が出るという除染。

それは 10年前に始まりました。

2011年3月11日に起きた

東京電力 福島第一原子力発電所の事故。

一定の基準の放射線量を上回った地域は
8つの県の111市町村。

最大で 16万人以上が
避難を余儀なくされました。

住民の帰還を実現するため
国が始めたのが 巨大公共事業 除染です。

汚染された土や草木を取り除いたり
屋根瓦を拭いたりすることで

生活のあらゆる場所の放射線量を下げる
作業です。

これまでに
9割以上の地域で除染が終わり

国は「平均で6割 放射線量が低下した」と
しています。

かつて経験のない事業だけに

「除染は構造的な問題を抱えて始まった」

そう語る元官僚がいます。

除染事業を所管する
環境省の現地事務所の初代所長

大村 卓さんです。

国は事故後
除染を担当する省庁をどこにするのか

迷走していたといいます。

当初は 原子力行政を所管する

経済産業省や文部科学省

大規模な公共事業の経験が豊富な
国土交通省が候補と見られていました。

しかし 担当に決まったのは環境省。

大規模な公共事業の経験は
ほとんどありませんでした。

住民の帰還を早期に実現するため
事業は スピードを求められていました。

一日で 最大2万人の作業員を集め
管理監督する力が必要でした。

そこで 大きな影響力を持ったのが
大手ゼネコンでした。

除染作業に関わったことがある
建設会社の幹部です。

除染は 通常の公共事業に比べ

利益が出やすい特有の構造があると
明かしました。

契約資料を調べると
飯舘村では大成建設

富岡町では鹿島建設など

同じゼネコンが 同じ市町村で
受注を繰り返していました。

除染作業では
最初に多額の費用をかけて

数千人規模の作業員の宿舎などを
確保します。

ゼネコンは初期投資を生かすため

それぞれ特定の地域で
繰り返し受注しようとします。

通常 公共事業は

入札で複数の業者に価格を競わせて
費用を極力抑えます。

しかし 除染の場合

一度受注し 初期投資したゼネコンだけが
入札に参加することが多いため

割高な契約が
結ばれやすくなるといいます。

入札の状況をまとめた資料です。

取材班が調べたところ

参加した事業者が1者だけだった入札は
57件中39件と7割近く。

ほかの公共事業と比べると
およそ2倍でした。

原発事故からの復興を掲げ
創業した相双リテック。

4年目には 売り上げが
100億円を超えていました。

このころから 「復興の志が
失われていったのではないか」と

元幹部は証言します。

元幹部は 社内の野球チームに
投じられた資金にも

違和感を覚えたといいます。

全国から有望な選手をスカウトし

寮や送迎バスなどを
次々と整備していったといいます。

しかし 創業から6年後。

元請けである清水建設の調査で
ある幹部への利益供与が発覚。

取り引きを停止され 仕事が激減。

社員の多くが解雇されました。

(呼び出し音)

ちょっとお話 伺わせて頂くこと
可能ですか?

社長に度々 取材を申し込みましたが

「何も答えることはありません」と
話しました。

更に 除染を巡って
刑事事件になるケースも相次いでいます。

3年前には 準大手ゼネコン
安藤ハザマの元社員2人が

除染作業の費用を
自治体に水増し請求し

だまし取ったとして
有罪判決を受けました。

不正を告発した下請け業者の男性が
その手口を明かしました。

福島県田村市での除染作業で

男性は 安藤ハザマの課長から
領収書の改ざんを指示されました。

それは 作業員の宿泊費の変更。

5, 000人余りだった利用者の数を

2倍近くの1万人余りに増やし

1泊の料金も500円高くするよう
求められました。

費用を およそ3, 000万円
水増しするものでした。

「行政は不正を見抜けない」。

水増しを指示した安藤ハザマの課長は
そう語ったといいます。

安藤ハザマは 私たちの取材に対し…

…としています。

除染を巡る詐欺や申告漏れなどは
少なくとも15件。

その総額は 40億円余りに上ります。

なぜ 行政はチェックできなかったのか。

環境省の現地事務所で
責任者を務めていた大村さん。

除染事業が次々と進む中で
人員体制の拡充を求め続けましたが

不十分だったと
内実を明かしました。

先週 新たに 除染事業に関わった
鹿島建設の元幹部が

脱税の疑いで
強制調査を受けたことも判明。

下請けから2億円以上を受け取っていたと
見られています。

復興のために投じられる 除染マネー。

国は当初 除染を事故後3年で
ほぼ終えるとし

その費用を
1兆数千億円と見込んでいました。

しかし 10年たった今も終わらず

総額は
およそ5兆6, 000億円に上っています。

除染作業の費用が
3兆2, 000億円。

更に 除染で出た
廃棄物の処理や

中間貯蔵施設の費用も
積み上がっています。

なぜ ここまで膨れ上がったのか。

環境省の元事務方トップ
南川秀樹さんです。

今回 初めて明かしたのは

検証が不十分なまま 費用が
増えていったことへの

自責の念でした。

膨らみ続ける除染マネー。

取材からは 放射性物質を扱うがゆえの
難しさも見えてきました。

それを象徴しているのが「仮設焼却施設」。

汚染された廃棄物などを燃やし
量を減らすのが目的です。

飯舘村の この施設だけでも

これまで 370億円が投じられました。

耐用年数は およそ20年。

しかし 僅か4年で
解体されることになりました。

実は 福島県内の16か所に
建設された施設の

既に半数が
解体されています。

国は当初 2か所の施設に

周辺市町村の廃棄物を
集約することで

コストを抑える計画だったといいます。

しかし 候補に挙がった自治体が

ほかの地域からの
廃棄物の受け入れに反対。

市町村ごとに建設し

稼働期間も短くする方針に
転換しました。

施設の数が増えた上
廃棄物の量も想定より大幅に増え

処理費用は当初見込んでいた
1, 500億円から

5倍以上の7, 700億円に膨らみました。

富岡町の施設は
当初予定した分の処理を終えたとして

4年足らずで解体されました。

750億円が施設に投じられていたことを
住民の多くは知りませんでした。

5兆6, 000億円に膨らんだ除染マネー。

取材からは 将来世代が
負担する可能性があることも

浮かび上がってきました。

税金で負担するのが
中間貯蔵施設。

それ以外の除染作業や

廃棄物処理にかかる
4兆円余りは

東京電力の株式を売却し

その利益で賄うと
国は決めています。

その仕組みです。

事故後 国が資金を出し 取得した
1兆円分の東電の株式。

1株300円で取得した株式を

3.5倍の1, 050円で売却できれば

その利益を
除染の費用に充てられるとしました。

しかし その後 株価は低迷。

除染の費用も膨らみ

今 必要な株価は およそ1, 500円。

現在の株価を4倍以上に

引き上げなければ実現できません。

なぜ
株式売却という仕組みが作られたのか。

そもそも除染の費用は

東電が負担すると
法律で定められています。

ただ 膨大な費用による
東電の破綻を防ぐため

国が金融機関から借金し
立て替えています。

その返済は 東電を中心とする
大手電力会社が行うとされていました。

ところが 事故から2年後の2013年。

東電が国に ある働きかけをしたことで
流れが変わります。

今回 独自に入手した
東電から経済産業省への要望書です。

廃炉や賠償などの費用が膨らむ中で
国の責任や費用の分担が曖昧だと主張。

そして 「国の方針に納得いかないまま
役職を続けることは

株主に対しても不誠実だ」と

社外取締役全員の署名入りで
訴えていたのです。

このうちの一人 下河和彦 元東電会長。

除染の費用を国も負担するよう求める
趣旨だったといいます。

その9か月後。

株式の売却益を除染の費用に充てることが
閣議決定されました。

当時 自民党や関係省庁の調整を
一手に担った

大島理森衆議院議長です。

株式売却は あくまで国民の負担を
抑えるための仕組みだったと語りました。

仕組み作りを主導した
経済産業省の元幹部は

私たちの取材に対し
苦肉の策だったと打ち明けました。

その後 除染や廃炉などの費用が
大きく膨らんでいく中で

この仕組みが本当に実現できるのか
議論されていたことも分かりました。

2016年に費用負担の在り方を検討するため
国が立ち上げた委員会。

今回 独自に入手した その議事録です。

委員からは 株式売却に対する
厳しい意見が相次いでいました。

一方 経済産業省の幹部は

東電の経営改革が進めば
実現は可能だと強調していました。

この発言をした日下部 聡さん。

株式売却の仕組みを維持した当時の思いを
打ち明けました。

このままでは 巨額の費用を

将来の世代が
負担することになるのではないか。

国の復興政策に大きな影響力を持つ

自民党復興加速化本部の
額賀志郎本部長に問いました。

除染マネーが膨らむ一方で

いまだに除染が
ほとんど行われていない地域があります。

立ち入りが厳しく制限されている…

除染は
放射線量の低い地域から進められ

今 残されているのは
原発周辺の「帰還困難区域」だけ。

2万人を超える住民が

故郷に帰れずにいます。

国は 帰還困難区域も
将来的に全て避難指示を解除するとし

「除染」が その条件の一つでした。

浪江町赤宇木地区です。

10年間 除染を待ち続けている
柴田明範さんと明美さんです。

入りたくなくても…。

(線量計の音)

家族9人で暮らしていた 柴田さん夫婦。

除染が果たされれば
自宅を再建したいと思い続けてきました。

ところが 国は5年前
帰還困難区域については

これまでの除染とは
異なる方針を打ち出しました。

全域を除染した ほかの地域と違い

帰還する住民が多いと見られる場所を
優先することにしたのです。

今年1月。

避難先で暮らす柴田さんのもとに
国から通知が届きました。

新たな方針のもと 国が示したのは

柴田さんの土地のうち
道路に面した ごく一部だけを

除染する計画でした。

帰還困難区域の除染の費用は
国が負担することになっています。

その金額は 2, 700億円。

除染マネー全体の5%です。

来年度までに除染することが
決まっているのは全体の8%。

国は それ以降の見通しを示していません。

新たな方針の決定に関わった
自民党の谷 公一議員です。

更に 除染が全く行われない場所が生じる
可能性も出ています。

費用対効果などを考慮した国は
去年12月 地元との協議の上

除染をせずに避難指示を解除できる
新たな制度を作りました。

除染が進んでいない 飯舘村長泥地区。

住民は この制度を受け入れれば

安心して立ち入れない状況が
この先も続くと危惧しています。

福島市の寺に

故郷が帰還困難区域に指定された人たちの
遺骨が安置されています。

除染が進まない中で

この地域で暮らしていた住民の
少なくとも1割

2, 900人余りが
帰還を果たせぬまま亡くなりました。

原発事故から10年。

「除染マネー」の終わりは
いまだ見えません。

1兆円以上が投じられた中間貯蔵施設。

今後20年以上 事業が続きます。

更に その先の最終処分。

どこで処分するのか
いくらかかるのか 誰が負担するのか

見通しは立っていません。

検証が進まぬまま膨らむ「除染マネー」。

原発事故からの復興は果たせるのか。

問い続けることが
私たちに課された責任です。

♬~


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