このページの読了時間:約4分0秒
「彼はお箸で魚を食べたよ」と言いたくて、He ate the fish by chopsticks. と言ったら、正しくは with chopsticks だと教えられました。なぜ by だとダメなのでしょうか?
質問「byとwithの違い」への回答
まず例文を確認しておきましょう。
例文:He ate the fish with chopsticks.(彼は魚を箸で食べた)
「箸で」がwith chopsticksになってますね。これは意味が通じる文章です。
誤文:He ate the fish by chopsticks.
これは with chopsticks を by chopsticks に代えた英文ですが、残念ながら「彼は魚を箸で食べた」という意味にはなりません。この理由はのちほど説明します。
あと by が使える例文も挙げておきましょう。
例文:He goes to school by bus.(彼は学校にバスで行く)
こちらは「バスで」がby busとなっており、意味も通じる英文です。
byとwithの一般的な使い分け
byとwithの使い分けについては次のように説明されるのが一般的です。
- by:手段によるもの
- with:道具によるもの
chopsticksは道具なので、with chopsticksとなることはわかりますが、これだけではなぜby chopsticksがダメなのかわかりませんね。
そこで、まずbyとwithのコアイメージを確認してから、描かれる状況がどのように違うのか見てみましょう。
byのコアイメージ
byのコアイメージは「近寄っていき、接して、影響を受ける」です。
A by Bだと「Aは接して、Bの影響を受ける」イメージになります。
その影響はBの働きや仕組みによるもので、Aの意志とは関係がありません。
withのコアイメージ
withのコアイメージは「付随するモノと一緒に存在する」です。
A with Bだと「Aが主、Bが従」という主従関係があることがポイントです。
単に一緒だというわけではないのです。
例文のイメージ
最初の例文に戻って、イメージを描いてみましょう。
例文:He ate the fish with chopsticks.(彼は魚を箸で食べた)
彼とお箸の間に主従関係があり、彼はお箸をコントロールしています。当然、道具として使っているイメージになります。
例文:He goes to school by bus.(彼は学校にバスで行く)
彼はバスの働きに接して影響を受けています。ただ、いまいちわかりにくいと思いますので、イラストに補助を入れてみましょう。
バスに接する部分をわかりやすく「busボタンを押す」と表現しました。このように手段を表す by は利用者がその手段を選んだというニュアンスが含まれます。
ただし、お客さんを運ぶというバスの働きは、彼の意志とは無関係です。
誤文:He ate the fish by chopsticks.
この英文を無理やりイメージ化したときの一例(*)が上のイラストになります。
彼はお箸の働きに接して(イラストでは「chopsticksボタンを押す」と表現)、影響を受けています。食べ物をつかんで運ぶという箸の働きは、彼の意志とは無関係です。
「彼は魚を箸で食べた」と言いたいときのイメージとしては不適切であることがわかりますね。
* 手段のbyは「移動や輸送の手段」に対して使われることが多いため、ヒアリングしたネイティブのなかには「お箸という乗り物に乗ることによって、魚を食べた」と無理やりイメージした人もいました。
「byとwithの違い」まとめ
フレーズ | 違い | 補足 |
---|---|---|
by bus | 手段によるもの | 手段のもつ働きや仕組みを利用する (利用者の意志とは無関係な働き) |
with chopsticks | 道具によるもの | 使い手と道具という主従関係がある |